茅ヶ崎に風が吹いてる。

『クリード チャンプを継ぐ男』レビュー/全く新しいロッキーがカッコよすぎたのでちょっと走ってくる! #クリード激アツ

(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

全国のスタローンファンの皆さん、やっとこの時がきましたよ!

さあ、大きな声で「オレはスタローンが好きだー!」って言ってください。もうガマンしなくていいんです!言ってイイんです!

シルベスター・スタローンの代表作『ロッキー』シリーズの新章と銘打たれてつくられた最新作『クリード チャンプを継ぐ男』を試写会でお先に見てきたんだけど、いやあ、ホントやられました。

チラシにある「”ロッキーⅠ”以来のシリーズ最高傑作」という言葉はウソじゃありません!

ダサいロッキーから、超スタイリッシュなロッキーへ

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『クリード』はすべてがスタイリッシュ。

主演のマイケル・B・ジョーダンのルックスから、他の登場人物、着ているもの、音楽、物語の展開、ボクシングの演出にいたるまで、映画の端から端まで、とてもこれが『ロッキー』シリーズだとは思えないほどすべてがカッコイイ!んです。

そんなまったく新しい『ロッキー』を生みだしたのは、若干29歳のライアン・クーグラー監督。

スタローン曰く「ロッキーとは2世代もかけ離れた若者で、はじめは大丈夫かと心配した」という若さで、長編映画2作目というほとんどキャリアもないような人ですが、その斬新な演出には度肝を抜かれます。

ちなみに僕の鑑賞後の第一声は「やっぱり映画って監督だよなあ」という至極当然の真理。あらためてそう思ってしまった。

スタローンは彼があまりにも若くて心配したと言ってますが、奇しくもスタローン自身がモハメド・アリ対チャック・ウェプナーの試合を見てわずか3日間で『ロッキー』の脚本を書き上げたのも、クーグラー監督と同じ29歳のとき。

まさに、チャンプを継ぐ男が出てきたという感じですわ。

ロッキーでまさかの涙。劇場に響くすすり泣く声。

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かつて世界中を熱狂させたヒーロー、ロッキー・バルボアもすでにおじいちゃん。

背中が痛くてあまり眠れないし、トレーニングでよく走ってたフィラデルフィア美術館の階段を登るのにもヒイヒイ言って、スマホのクラウドと言われても雲を見あげてしまう(笑)。

そんなロッキーおじいちゃんを茶化すウィットに富んだジョークも多く、笑っちゃうシーンもたくさんあるんだけど、物語の終盤になると、劇場内にはすすり泣く声が聞こえてきました。

え?ロッキーですよ……!

第1作は感動するけど、続編はみんなそういうんじゃないでしょ?

『ロッキー』の続編で泣くなんて、スタローンがアカデミー賞を獲るくらいありえないことですよ!

それなのに、けっこうみんな、泣いてる!

一緒にいたブロガーのお友だちなんて、顔を覆ってほぼ号泣に近いほどじゃないですか。ノックアウトされちゃってるじゃないですか。

ちなみに僕は泣きはしませんでしたが、ぐっとくるシーンはたしかに終盤にやたらたくさんありました。

まさか泣かされるような流れになるとは思っていなかったので、こちらの涙腺も油断しまくっていて、僕もあわや、という感じでしたけど。

涙を誘うシーンについてはもちろん書かないけど、ひとつだけ言えるのは「ロッキーだろうとクリードだろうと、日本人だろうとアメリカ人だろうと、みんな人間は同じことに苦しんで、喜んで、泣いて、笑って、やっぱり人生ってステキだわーい!」ということでしょうか。

生まれ変わったスタローンにオスカー獲ってほしい!

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ちなみに「スタローンがアカデミー賞を獲ることなんてありえない」と失礼なことを書いたけど、本作での「おじいちゃん」演技はかなりすばらしく、批評家の評判もいいらしいので、ラズベリー賞(最低映画賞)常連のスタローンに、奇跡のオスカー獲得(助演男優賞)もありうるかもしれないんですよね。

今までラズベリー賞に輝く大根役者だったのに、なんでいきなりオスカーの噂が出るほどまでに「化ける」ことができたのか。

それはやっぱり、『ロッキー』と映画に、真の情熱を注ぐクーグラー監督のおかげでしょう。

スタローンってやっぱり、『ロッキー』や『ランボー』なんかで世界的アクションスターになってからは、ずっと王様だったんですよ。

オレオレオレで自分がすべてで、監督も自分でやっちゃうから、『ロッキー』シリーズの後半なんてぜんぶ「いかにロッキーがカッコイイか」を描いていただけ。ロッキーに執着しすぎていた。

でもすべてに言えるけど、自分がいかにカッコイイかを前面に出したら、それもうひとつもカッコよくないんですよね(笑)。

だけど本作は、ロッキー・バルボアというヒーローではなく、『ロッキー』という映画作品に敬意をはらい、真の情熱を注いだクーグラー監督の手によって、スタローンがうまく脇に追いやられたことで、逆にこれまでになかった輝きを放つことができたんじゃないでしょうか。

アクションスターって引き際がむずかしいと思うんだけど、クーグラー監督のおかげで、素敵な「ロッキーおじいちゃん」になることができてよかったねスライ。

「『ロッキー』新章(シリーズ)、始まる。」

というキャッチコピーなので、続編が作られるのかもね。

「ロッキーⅠ」が生まれた年に生まれた僕も、ロッキーおじいちゃんのますますの活躍を楽しみにしております。

『クリード チャンプを継ぐ男』は、12月23日(水)公開。今年の冬はアツイぜー!

シルベスター・スタローンを一躍スターに押し上げた代名詞「ロッキー」シリーズの新たな物語。ロッキーのライバルであり盟友であったアポロ・クリードの息子アドニス・ジョンソンが主人公となり、スタローン演じるロッキーもセコンドとして登場する。自分が生まれる前に死んでしまったため、父アポロ・クリードについて良く知らないまま育ったアドニスだったが、彼には父から受け継いだボクシングの才能があった。亡き父が伝説的な戦いを繰り広げたフィラデルフィアの地に降り立ったアドニスは、父と死闘を繰り広げた男、ロッキー・バルボアにトレーナーになってほしいと頼む。ボクシングから身を引いていたロッキーは、アドニスの中にアポロと同じ強さを見出し、トレーナー役を引き受ける。アドニス役は「フルートベール駅で」の演技が高く評価されたマイケル・B・ジョーダン。同じく「フルートベール駅で」で注目された新鋭ライアン・クーグラーが、監督・脚本を務めた。
http://eiga.com/movie/82844/

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