ぼくが死ぬまで飲みつづけると決めたワインとプロセッコ「一生の銘柄」

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ワインは赤も白も好きで、スパークリングもよく飲むんだけど、銘柄を選ぶのがいつもめんどくさい。

料理人をやっていた頃はフランスワインを真剣に学んだこともあったが、今はもうワイン通みたいにじっくり舌で転がすような飲み方はしないので、ガブ飲みの安いものでいい。なのでふだんは、千円から高くても二千円くらいのチリ産やイタリア産ワインを飲むことが多い。いくつかお気に入りの銘柄はある。でも、どれもなんかしっくりこない。だからいつも悩むことになる。

もういっそのこと、一生このワインだけを飲む、というくらいの決定的な一銘柄に出会えたら、と常々思っていた。ジョブズやザッカーバーグが着ける服ではないが、ビールはスーパードライ、水はボルヴィック、スタバではソイラテ、みたいに、何事も決めてしまいたい。そういうのを決めておくと、たまにする浮気がまた楽しい。

そんなぼくが、ようやく、もう他のワインはいらないや、という「一生の銘柄」に出会うことができた。

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夏に父が急逝した後、父が何十年も通っていた青山の老舗イタリアンレストランをぼくが訪れたのは、お客さんも引きはじめた遅い時間だった。いつも明るい初老のオーナーシェフは、営業が終わりに近づくとイタリア人みたいにワインを飲みはじめて、赤ら顔で豪快に笑いながら、常連客と話に花を咲かせている。

シェフがそのとき、自分でボトルからグラスに注いでぐいぐい飲んでいたのが、「テッラ ダリージ」というワインだった。

訊いてはいないけれど、たぶんハウスワインなんだろう。ちなみにハウスワインていうのは、家で気軽に飲むようなリーズナブルなワインという意味ではなく、その店の看板と言えるもので、「お手頃価格でちゃんとおいしい」というハウスワインの選択で店全体の質やセンスが問われる。レストランの魂のような存在だ。

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父や母や奥さまとみんなでイタリアへ何度も旅行に行くくらいに、家族ぐるみで親しくさせてもらっていたオーナーシェフ夫妻は、通夜にも告別式にも四十九日にも来てくれて、その都度、父が好きだったワインやプロセッコを振る舞ってくれた。

プロセッコというのはスプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)の一種で、ぼくらがそれをシャンパンと呼ぶと、シェフは「だからプロセッコだって!」と言って豪快に笑った。それが「カルペネ マルヴォルティ」だった。

ワインの赤は風味豊かでほどよく重く、白はすっきりほのかに甘く、プロセッコはきりっと辛口で、絶妙なバランスを感じる。素人がぐだぐだ能書きをでっちあげるまでもなく、どれも抜群に、美味い。

そしてなにより、父が愛し、大好きなイタリア料理文化において誰よりも信頼を寄せたシェフが選んだハウスワインなのだから、もうぼくなどはあれこれ考える必要もない。

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ということで、Amazonでケースで買っては、夜な夜なママちゃんと飲んだくれている。ワインもプロセッコも二千円しない価格で、この「お手頃価格でちゃんとおいしい」クオリティは、まさにもう、一生これだけあればいいや、という感じである。

ぼくが買っているAmazonのお店は、六本以上で送料無料になるので、赤を二本、白を二本、プロセッコを二本、みたいに組み合わせて買っている。好みはあるだろうけど、ぼくの「一生の銘柄」、よかったらお試しください。

父は「フェラーリ」も好んでいたらしいけど、こっちはちょっと高いので特別な日だけかな。そろそろクリスマスじゃないですか。