二十代の頃、映画『バスキア』を観て、作中で彼が着ていたオレンジのボロボロのセーターの真似をして、ユニクロのセーターの襟首や袖口をハサミでジョキジョキ切って、台無しにしたことがある笑。

台無しにしたものの、僕はしばらくそれを着て意気揚々と街を闊歩していたはずだ。若さってのはエネルギッシュだね。

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27歳で夭折したバスキアも、その短い人生で、若いエネルギーとインテリジェンスと向上心を爆発させたような人だ。

バスキアの生涯を覗いてつくづく感じるのは、彼が、自分の感性をとことん、とてつもなく、めちゃくちゃ信じていたってこと。

もちろんアーティストってのはそうじゃなきゃいけないんだろうけど、彼の創作スタイル、愛した音楽、趣味興味のすべてに、

「人は関係ない。誰がどう言おうと僕はコレが好きなんだ。僕はこうやるんだ。こう描くんだ」

という強い意志を感じる。意志っていうか、生き方だよね。もちろん憧れたウォーホルの影響は多分にあるんだろうけどさ。

世界の偉大なるバスキアじゃなくて、同じ等身大の人間として、表現に向かってる姿勢を、なんか生々しく感じられたな。

あと、彼の創作スタイルに、スゴく自由を感じたし、共感したわ。

スタジオでのバスキアはほぼ毎日ノンストップで絵を描いていて、壁にはつねに10作ほどが立てかけてあり数日間は寝ないで仕上げていたという。テレビは始終つけたままで、ステレオも大音量でジャズのレコードが鳴りっぱなし。チャーリー・パーカー、ケルアックやバロウズといったビート族から影響を受け、解剖図や歴史書を片手に直接キャンバスに描き写した。床に置いたキャンバスの上を素足で歩き回り、わりと大柄だった彼は、独特の姿勢で身体をつねに動かしながら即興的に大量の作品を生み出していったという。

バスキアとは何者か? 「黒人アーティスト」というレッテルを嫌った男|美術手帖

そういえばオレも、静かに心落ちつけてMacに向かうより、テレビやNBAをつけていたり、部屋を歩きまわっているときのほうが、頭がよく回って、思考がかろやかに流れて、いい創作ができる気がする。

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で、六本木ヒルズで『バスキア展』を見てきた。

平日だから舐めてたんだけど、すげえ並んでて、一時間くらいかかったよ。これから行く人は、ネットで前売り券を買っておくことをオススメする。ファストパスみたいに通してくれるから。

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今までもいろんな絵画を見てきたけど、バスキアは詩も多くてメッセージ性が強いせいもあってか、あらためて、「なんだってさ、言いたいこと、感じたことを、自分のスタイルで表現したら、それはアートなんだなあ」という、ひどくひどく根本的なことを強く感じたよ。

音楽でも小説でも、人の心を揺さぶって、何かを伝えるって、なんでもアートだよなっていう、原点。

極論、絵がうまいとか文章がうまいとか、そんなん二の次だよなって。

でもまあ、結局技術がないと届かないんだよなっていうパラドックス。

バスキアは時代的に、グラフィティとかストリートを取り入れたスタイルになってるわけで、みーんな一緒やなあと。ダリだってピカソだって。

生で見るとやっぱり迫力あるけど、昔見たときより、なんかちょっとダサいな笑、と感じたのも事実。

なんか、80年代ハードロックのダサさに触れてるような苦笑の瞬間があった。80年代ロック好きだし、いや、カッコいいんだけどさ。

ちなみに会場では、携帯電話みたいな端末を貸してくれて、吉岡里帆ちゃんが音声案内してくれて、それも楽しいよ。

以下、撮影可能だった数枚を掲載しておくね。

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▲ これカッコいいよね。すごくカッコいい。

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▲ ZOZO前澤さん所有の。100億円くらいするんだっけ。タヒチっぽいエナジーあるね。

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▲ 王冠並べた自画像。写真だとあんまだけど、オレこれが一番よかった。

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▲ 100万円。対豚肉対豚肉対豚肉?

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▲ 当時バブルだったジャパンマネーに嫌気がさしてたって解説してたけど、本当かなあ。

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▲ タマネギ臭くなるガム食って辛〜って言ってる人笑。

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展示は、デカいの小さいの、ノートの切れ端まで、けっこうたくさんあるから、興味ある人はいいと思うよ。

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▲ グッズ売り場で散々迷って、iPhoneケース買った。X用のみだから、買ってるのオレくらいだった。超カッコいいぜ。

あと、出口でチェキ撮ってもらうと、もう一回無料で来館できるってキャンペーンやってたんで撮ってもらった。

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アートってさ、評価基準なんて結局、好きか嫌いか、カッコいいか、だよな、をあらためて感じた一日でした。

そりゃバックグラウンドとかキャラクターとか技術的な素養があれば、よりオモシロく見えるんだけど、それよりはまず、ビビッとくるかってところ。

オメガのスピードマスター超カッコいいよなとか、ポルシェ911のお尻マジグラマーとか、吉岡里帆ちゃんカワイイとか、そういうのと同じところで、絵画アートだからとか特別じゃなくてね、いいよねカッコいいねシビれるねっていう。

そういや、中学高校とバスケ部で一緒だったTOMOKAZU MATSUYAMAがニューヨークで画家やってて、この前『情熱大陸』に出てたの。スンゴイね。知り合いで誰が最初に情熱大陸っちゃうかと思ったけど、やっぱりマツだったなあ。

マツの創作も、まあとにかくクール。カッコいい。ビビビ。

バスキアもそうだけど、身近に置いておきたいと思う。そういうのが、アートなんだろな。

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