ヤバイでしょう、このウニパスタ。
ウニの方がパスタより全然多いっていう、常識外れの一皿。
このビジュアルにぐいっと引き寄せられて、作家でプロブロガーの立花岳志さんが主催されたオフ会に出てきたんだけど、想像以上にスゴかったわ。
お店のウリであるガトーショコラや料理もスゴイんだけど、オーナーシェフの経営哲学というかブランディングに圧倒されました。
たぶんどんな仕事でも役に立つ大事なことを学んだので、後学のためにもまとめてみるよ。
まずは、至福の料理の数々をご覧あれ。
大粒活帆立のソテー(EXVオリーブオイル仕立て)
▲ ぶりんっとした食感と素材を活かしたシンプルな味つけ。
手長海老のロースト
▲ 高級食材スカンピも、余計な手を加えない方がおいしい。味噌が濃厚。
極上生ウニのパスタ
▲ 笑っちゃうほど強烈なビジュアル。
▲ こんもり。壮観ですなあ。口に入れた途端ふんわりとろけるウニは、たしかに極上物。いいウニ使ってないとこの感動はないでしょ。
どえらいキャビア
▲ こんなデカいキャビア缶初めて見た(笑)!いくらするんだこれ?
▲ キャビアなんて料理人やってた頃に厨房で食べてたくらいだから、ゆっくり味わえて幸せ。
ちなみに普段のコースでキャビアは出ないです。後述するけど、今日は立花さんのスペシャルバージョン。
焼きたてスーパーバニラプリン
▲ スプーンが配られるのを待てず、思わずハシが伸びてしまうプルンプルンのやつ。
シンプルな味つけに隠されたブランディング
ほかにも「本ずわい蟹と有機野菜のサラダ」とか「特選銘柄豚ヒレ肉のグリル」とか、どれもすごくおいしかったんだけど、写真見てもわかるように、どの料理もちょっとシンプルすぎる。
良く言えば素材の味を活かしているし、悪く言えば特徴もオモシロみもない味。
つい一歩下がって、元イタリア料理人の冷徹な目で眺めてしまって、ふうん、と思ったのもたしか。
でも後で、そこに透徹したブランディングが隠されていることを知った。
売りたいのは「ガトーショコラ」だけ!という徹底したフォーカルポイント
じつはこのお店、元々はイタリア料理店だったんだけど、今は基本的にはガトーショコラ専門店。
デザートで出してたガトーがあまりにもおいしくて、お客さんの声に応えてテイクアウトをやるようになったら飛ぶように売れたんで、料理は1日1組限定の貸切コースだけにして、ガトーショコラだけにフォーカスして、オーナーが本まで出版しちゃったという、かなり変わったお店なんですな。
オーナーの本 ⇒ 1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方 (SB新書)
で、もちろん宴の大トリにはドドーンとガトーショコラが出てきます。
シェフがテーブルでカットしてくれました。焼きたてなのでフォンダンに近いトロトロさ加減。
1個3,000円という高額ながら飛ぶように売れるだけあって、抜群にうまい。ああ本当にうまかった。今この記事書いててまた食べたくなって身もだえしてる。
ウニパスタ目当てで集まった食いしん坊たちも感嘆の声をあげて、僕がテイクアウトに購入したのを皮切りに、みんなどんどん買っていく。まさに目の前でも飛ぶように売れてる。
なるほど、あの強烈なビジュアルのウニパスタも、このガトーショコラへの導線なのか!
日本人なら誰でも愛してやまないウニをふんだんに使ったインパクトのある商品でアイキャッチして、ネットで集客して、おいしい料理で満足させて、最後に一番のウリであるガトーショコラのフィナーレでドカーン!とやっつける。
そりゃあ負けますよ。参った。買っちゃいます。
他の前菜とかお肉とかは「ウニパスタ」と「ガトーショコラ」の引き立て役でしかない。だから印象に残るソースを使ったりスタイリッシュな盛り付けはせず、トコトンシンプルに仕上げる。でもちゃんと高級素材を使ってるから、ちゃんとおいしい。
お客も嬉しい、オーナーも嬉しい。ああこれまさに21世紀型ウィンウィンじゃないですか。
「上位20%の価値ある商品が、ビジネス全体の80%以上の価値を生み出す」という、フォーカルポイントの法則を大胆に実行したわけですが、長年修行した料理人が、ガトーショコラだけに絞りこむ勇気は並大抵じゃない。
多額の広告費をかけなくても、世に広めることができる時代
ちなみに今回、普段のコースメニューにはないキャビアやシャンパンなどのサービスがあったのは、主催した立花さんがオーナーの本の書評を書いて売上げが伸びた、という経緯があるから。
もちろん立花さんとオーナーの間に金銭的なやり取りはなくて、立花さんが純粋に本からの学びを情報発信したところ、双方がハッピーになったと。
宴の終わりに立花さんが「ガトーショコラほしい方はテイクアウトで買えますよー。欲しくない人は買わなくていいですよー」って言ってたんだけど、これこそまさに情報化社会型ウィンウィンでしょう。
欲しくない人は買わなくていいんです、当たり前だけど。頼まれたりお金をもらったりして宣伝するんじゃなく、個人が自分の意思で選び、良いと思ったものだけを発信する。
料理やガトーがおいしいと思った人は、FacebookやTwitterに写真載せますよね。こんなスゲーウニパスタ食べちゃったんだぜって、自慢したいですもんね。
僕もFacebookに載せたし、こうしてブログにも書いてる。先日は@narumiさんも行かれたようで、ブログ書いてるし、立花さんを筆頭に参加したブロガーさんたちもみんな書くでしょう。
この日参加したブロガーたちだけの合計でも、ざっくり月間200万PVはいくんじゃないの?すごい広告効果ですよね。
ちなみにガトーショコラは、家に持ち帰って食べたときのほうがおいしかったです。
スイーツブログをやってる家内曰く
「ここしかないという抜群の焼け具合で、適度にしっとりしてて、絶妙に抑えた上品な甘さ。売れるだけある」
とのこと(上から目線だなw)。
もちろん大切な大前提は、モノが良いってことです。中身のないブランディングだけじゃダメ。
でも逆に言えば、多額の広告費をかけなくたって、自社製品や個人のウリをどんどん広めることができる時代になったってことですよね。
本の帯にもガトーの写真が載ってる。ここにも導線。味にも戦略にもまいりましたよオーナー。ごちそうさまでした!
オーナーシェフの本はこちら(Kindle版安いね)
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ケンズカフェ東京
ジャンル:完全貸切 完全個室
アクセス:地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅 2番出口 徒歩3分
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿1-23-3 御苑コーポビアネーズ1F(地図)
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情報掲載日:2015年3月27日