なぜ世の中のラーメン屋は、トッピングにかいわれを使わないのか?

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6月に横浜駅西口にオープンした「らーめん春友流」のイチ押しメニューは、「ねぎわれらーめん」だと勝手に思っている。

化学調味料を使っていないのに、強烈なパンチのある濃厚な豚骨醤油スープが、大量のかいわれ大根と長ネギ、タマネギによって、ちょうどいい穏やかさとまろやかさにまとまっているのだ。

力のあるスープに、さっぱりとした風味の香味野菜を合わせるのは、ラーメンだけでなく様々な料理に用いられる常套手段であるはずだ。それなのに

「なぜ世の中のラーメン屋の多くは、トッピングにかいわれを用いないのか?」

試食の時よりとろみがやや強めに感じられるスープにかいわれの山を崩しながら、僕はそう思った。

かいわれ大根というのは、大根の新芽のことだ。大根と言えば、細く切れば三歩後ろで刺身を引き立てるツマとなり、すりおろせば殺菌や消化を高める万能食材となる、和食の名脇役だ。そんな大根の発芽直後のまだ青く幼い絶妙な頃合いの辛味を喰っちまうんである。

これが深みのある豚骨醤油スープに合わないはずがない。というのは、そのマリアージュを食べたことがあるから言えるのかもしれないが、それにしてもうまいのである。

試みにグーグル先生に尋ねてみると、家系総本山の吉村家をはじめとして、ラーメンのトッピングにかいわれ大根を使っている店はないこともない。しかし決して多くはない。なぜか。

吉村家のラーメンにかいわれ大根をトッピングして食べたことがないので憶測にすぎないのだが、あそこの強烈な家系豚骨スープに、かいわれ大根は負けてしまうんじゃないだろうか。同様に想像をたくましくしてみると、博多系の白濁したあっさり豚骨スープでは、かいわれ大根の風味がなんとなく浮いてしまう気がするし、昔ながらの鶏がら東京ラーメンにも合いそうな気がしない。その他多種多様なラーメンスープを想像してみるも、かいわれ大根という薬味界影の実力者が合いそうなスープがなかなか思い浮かばない。

やはりこの、濃厚でありながらどこか凪いだ海を思わせる穏やかな豚骨醤油スープだからこそ、そしてこれでもかというくらいにたっぷりとスープを持ち上げる西山製麺の縮れ麺だからこそ、かいわれ大根が大きな役割を果たすのかもしれない。

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個人的には、ラーメン春友流のスープは僕の好みよりやや塩辛く感じる。ただそれも、爽やかなエーデルピルスの生ビールを合わせるとちょうどよくなってしまうから嬉しいのだが、先日はオートバイで来店したのでエーデルピルスを味わえなかった。

「僕は、ねぎわれの量がこの倍くらいあったら嬉しいなあ」

と生意気なことを言うと、気さくな店主は「憶えてたら今度増量サービスするよ」と言ってくれたのだが、それだと気がひけてあまり行けなくなるので、いつの日か「ねぎわれ倍量 」というトッピングメニューが増えてくれることを、密かに、ひかえめに、だが強く願っている。

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