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その一年に買ったものを振り返ってみると、おおよそどういう一年だったのかという空気が伝わってきておもしろい。

買ってよかったものそれぞれにコメントをつけてみたところ、その大半に親父の死が関わっていることに気づかされ、自分でも感慨深く、大きな変革と衝撃の一年だったのだなあとあらためて痛感した。

こうして見つめてみると、買い物という選択も人生のハイパーリンクとなって、ぼくらの暮らしを豊かにし、ぼくらを知らないところへ連れていくのだなあと思う。ということで、他にもたくさんあるんだけど、今年ぼくの暮らしを豊かにしてくれたモノベスト10です。

<10位> H&Mのデニムジャケット

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ぼくは昔からデニムジャケットが好きだった。昔はGジャンと呼んでいたはずだが。若い頃見たA.P.C.のジャン・トゥイトゥーがいつもデニムの上下だったのが印象的で、最近はぼくももう洋服はデニムパンツとデニムジャケットだけでいいような気すらしている。セミフォーマルで行くべきウェディングパーティにデニムの上下で参列したのは、そういう理由ではなく単なる天然ボケだったが。

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夏に亡くなった親父は美容師だったので、六十を過ぎても派手なデニムジャケットを着こなしていた。デニムジャケットは細身に小さめがよく似合うのはわかっているけど、ぼくだって着たいんだもの。

<9位> イタリアワインとプロセッコ

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親父が愛したイタリアンレストランのシェフに教えていただいた、お手軽価格でちゃんと美味しいイタリアワインとプロセッコ(スパークリングワイン)。特にプロセッコはきりりと絶品だ。選ぶのが面倒だという理由で、このワインの赤白とプロセッコばかりを楽天ポイントなどでまとめて買っているけど、そうやって決められた銘柄ばかり飲んでいるといろいろ他の銘柄も試してみたくなってきて、最近はワインの世界が広がりつつある。面倒だと思っていたのが楽しくなって、不思議な感覚だ。

<8位>iPhoneアプリ「大辞林」と「類語新辞典」

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親父の書棚に並んだ膨大な量の小説を目にしてからぼくがまずしたことは、iPhoneに辞書アプリを入れたことだ。長年ATOKで愛用していた広辞苑でなく大辞林にしたのは、アプリとしての完成度が素晴らしく日常で使うのに最適だったことと、広辞苑より現代的な解釈が多いからだが、いずれ広辞苑のアプリも入れて引きくらべたいと思っている。

どんなときも意味のわからない単語に出会ったらすぐに辞書を引く癖がつくと、文章そのものに対する姿勢が変わる。大辞林から類語辞典に飛ぶことができるのも楽しい。今もっとも愛着のある書籍でもある。

<7位> ラゲッジレーベルエレメント ワンショルダーバッグ

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親父の長財布を譲り受けてからは、尻ポケットに財布をつっこむのが不安になったので、財布や手帳を持ち運ぶために今流行りのボディバッグを購入した。

レビューブログを読んで一目惚れしてアマゾンで買ったので、いざ手元に届いてみたら思ったよりも小さくて苦笑したが、バッグの容量が少ないおかげでいつも必要のないものをあれこれ詰め込んで重いバッグを運ぶことの多かったぼくの荷物が減ったのは幸いだ。コンパクトだが12インチのMacBookが入らない、こともない笑。ラゲッジレーベルエレメントの革はやわらかく心地よい。

<6位> iPhone7 Plus

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はじめて大きい方のiPhoneを買って、デカすぎるダサすぎると当初は激しく後悔していたものの、時間が経ってみればもうこの大きさが完璧でマットブラックもクールで、ドクのデロリアンがあったとしても小さいiPhoneに戻る気はない。

<5位> トラベラーズノートとLAMYの万年筆

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映画監督の西川美和さんはいつも革の立派な手帳を使っていて、彼女の作品『永い言い訳』の主人公の小説家もそうだったので、俄然アナログなノートが欲しくなったところで、ありがたいことに友人からトラベラーズノートを譲り受けた。

以前は何でもかんでもデジタルにしたくて、iPhoneでエバーノートにメモすることが多かったが、今はなんでもトラベラーズノートに書くようになった。メモだけでなく、ブログや創作の下書きを長々と書くことも増え、アナログの気持ち良さを体感している。

となると、毎日使うものだからペンの書き味も重要になってきて、それまで使っていたパイロットのVコーンも滑らかでよかったのだがちょっとダサいので、LAMYのSafariという万年筆を入手。このコンビは本当に素晴らしいのでいずれレビューを書きます。

<4位> PORTER タンカー 3WAY ブリーフケース

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ラゲッジレーベルのボディバッグで<吉田カバン>の良さを見直して、PORTERづいてきたので、仕事用のバッグも新調した。表参道の旗艦店で一時間くらいかけて比較して購入したので、デザイン・サイズ・機能ともかなり満足している。1983年発表以来変わらぬスタンダードには愛される価値があるよ。

<3位> MacBook

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「映画と恋とウディ・アレン」というドキュメンタリーで、アレンじいさんが何十年も同じタイプライターで脚本を書いているところを見て、書斎にiMacがあるにも関わらず、執筆をするためだけのマシンとして購入。<世界一高価なワープロ>と呼んで毎日使っているが、27インチのiMacに資料や写真や書籍を表示して、MacBookで執筆するのは本当に快適。そしてとにかくカッコいい。

<2位> SONY MDR-EX1000

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親父が亡くなってから、小説も映画も音楽もなんもかんも、正真正銘の本物(オーセンティック)に触れたくなって、音楽と真摯に向き合うために購入したモニターイヤホン。ワイヤードなのは正直日常では煩わしいが、その不便さを凌駕する音質がある。ノラ・ジョーンズが耳元で歌ってくれる感覚にうっとりしている。

<1位> RICOH GR2

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プロダクトによって生活が変わることは人生の喜びのひとつだが、RICOH GRはまさにぼくの生活を変えた。

写真を撮ることがこんなに楽しいことなのかと浮かれる毎日で、GRを手にしない日はない。街を撮り、海を撮り、家族を撮り、飯を撮り、猫を撮る。おかげでぼくのブログに使われる写真まで、クロスプロセスとか白黒ばかりの視認性に劣るものが増えているのだが、あいつ楽しいんだなと容赦してほしい。GRの写真をGRで撮れないのが目下の悩みだ。

バージョン 2