コラム/エッセイ

今日を歩くハイパーリンク

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大好きな映画監督の西川美和さんといきものがかりの水野良樹さんの対談をテレビで見た。

西川さんの最新作『永い言い訳』は映画も見て小説も読んだが、他にも自分の作品の小説やエッセイなど、著作がたくさんあることを知って、さっそくアマゾンでポチッと購入した。

つづいて、西川さんと水野さんは両人ともスポーツ雑誌「ナンバー」で連載を持っていることを知り、すぐにiPadの「dマガジン」アプリで読んだ。そこで西川さんの文章に、前ラグビー日本代表監督のエディ・ジョーンズさんの言葉を見つけて、手帳にメモをした。エディもジーコと同じことを言っている。

これはリアルなハイパーリンクじゃないか、と思いながら、対談のつづきを見る。

インターネットでは、ページ上のリンクからその先へ飛んで、またその先へ飛んで、というふうに世界が広がっていくが、同じようなことは日常でも気づかないうちにやっているのだ。

テレビ番組を見ていただけなのに、何冊もの本に繋がって、スポーツ雑誌に繋がって、リーダーシップ論に辿り着いて、そのうちいきものがかりを聴く日も来るかもしれない。そういう直接的な影響じゃなくても、この対談番組を見て、西川さんの著作を読んで、エディの思想を知ったぼくがする次の選択は、違うものになるかもしれない。

かつては音楽を聴く姿勢も同じようなものだったはずだ。好きなアーティストのCDについているライナーノーツ(音楽評論家などが書く解説の小冊子)を読んで、ルーツとなった未知なるアーティストの存在を知り、そのアーティストのCDを買い、というふうに、時代を遡っていくことで、音楽の世界は広がっていった。

そう考えてみればぼくらの人生は、ハイパーリンクの連続だ。誰かに会って、恋をして、声をかけ、断られ、自分を磨き、やりたいことに出会い、没頭し、失敗し、挫折して、落ちこんでいるところに声をかけられ、また恋をして、共に生き、子を育み……、ぼくらはそうやって、毎日知らぬ間に次なるハイパーリンクを踏んでは、今日という日を歩いていく。

そう思うと、毎日の一瞬一瞬が永い永い人生を構成しているのだという深い実感に、不思議な気持ちになる。

日常で目に入ってくるすべてがハイパーリンクに見えてくる。家内も家族も家族にかける言葉も、目の前の仕事も、お昼ごはんのメニューも、ビールを飲むかジェイムスンにするかという選択も。小さなひとつひとつの行動が、ぼくをどこかへ連れていく、という当たり前を実感する。

だから今日も、あんまり慌てず、じっくり焦らず、落ちついて世界を眺めたいと思う。

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