コラム/エッセイ

「でもあんたにだって負けやしないぜ」__ジーコの魂

サッカーのクラブワールドカップを見ていたら、鹿島アントラーズの応援席に「SPIRIT OF ZICO」という横断幕が掲げられていた。

ジーコといえば最近は代表監督での失態のイメージが強いけど、二十年以上前にブラジルからやってきたサッカーの神様は、Jリーグおよび日本サッカーの発展に最も貢献した人物だ。とくに弱小国ならではのメンタルに、勝者の魂を植えつけたという意味において。

ジーコは「どんな相手にだって負けると思うな」と何度も言ったという。

結果的に負けはしたけど、世界最強のレアル・マドリードを、アジアのチャンピオンにすらなれなかった鹿島アントラーズがあそこまで追いつめることができたのは、選手たちに「どんな相手にだって負けない」というジーコの魂が宿っていたからだろう。

これまでは、中田英寿や本田圭佑のような、「どんな相手にだって負けてたまるか!」という強いメンタリティを兼ね備えた選手が世界で活躍してきた。けれどこれからは、「どんな相手にだって負けないよ」という淡々とした姿勢で活躍する、柴崎岳のような選手が増えていくのだろう。ジーコの魂が、日本人全体に根づいてきた証だ。

ぼくのように競争意識や闘争心に欠ける人間にだって、ジーコの魂がすこしは必要かもしれないなあと、ふと思う。

本を読んで勉強したり、誰かに教えてもらったり、一緒に何かをやったりするとき、相手へのリスペクトはもちろん必要だが、心の片隅には「でもあんたにだって負けやしないぜ」っていうやんちゃな少年の心を、隠し持っていていいはずだ。

吾以外皆師也。師を持つことはわるいことではないが、いつまでも弟子だと思うなよ、っていう気概がなければ、いつまでも師を越えることはできない。ジーコにだって負けてたまるか。

そしてその熱情さえなくさなければ、ぼくらはいくつになろうとも、少年のように挑戦者でいられるはずだ。

それにしてもセルヒオ・ラモス退場だろうよバカヤロー。

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