コラム/エッセイ

スポーツファン必買!『Number』の90年代特集号は永久保存するべき感動の一冊。

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僕らはなぜスポーツに熱狂するのだろう。いい大人が必死の形相でボールを追いかけまわす姿に心を震わせ、涙を流すのはなぜなのだろう。

90年代のスポーツ界は特別だった。中田英寿、野茂英雄、伊達公子、貴乃花、ヒクソン・グレイシー、辰吉丈一郎、原田雅彦、マイケル・ジョーダン、イチロー、アイルトン・セナ、日本サッカー。スポーツは単なる娯楽ではないことを気づかせてくれた特別な10年を、雑誌『Number』がしなやかにまとめてくれている。

海を渡ったトルネード

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野茂英雄がメジャーへ渡ったときのビデオを見返すと、彼が孤独の中でどれだけ強い魂を持っていたのかがよく分かる。今では当たり前になった海外移籍だが、彼の一歩は日本のすべてのスポーツ選手にとって偉大な一歩だった。

スーパースターという星の下

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世界のイチローが誰よりもすごいのは、記録にも記憶にも残るということだ。阪神大震災という闇の中でイチローの輝きは眩しかった。WBCの決勝では、大会中不振だったイチローに千載一遇のチャンスがまわってきて、世界一を決めるヒットを打った。「持っている」とは彼のような選手を言うのだ。

永遠の速さ

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セナのマシンがサンマリノの壁に激突したときの映像は、今でも脳裡に焼きついている。キャリアの絶頂期に壮絶な死を遂げた英雄は、伝説となった。その後どれだけ速いドライバーが現れても、僕はいつも一歩先を走るセナのゴーストをサーキットに見てしまう。

いじめられっ子だったカリスマボクサー

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大胆なボクシングスタイルと言動で他に類を見ないほどの人気を誇っていた辰吉もまた、紛れもないスーパースターだった。薬師寺戦での敗北から、辰吉は人間としても新しい姿勢を手に入れ、ふたたび世界王者に返り咲いた。豪快だった若い頃よりも、薬師寺戦以降の人生にこそ彼の真の輝きがあるような気がする。

スポーツ界の頂点

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古今東西のあらゆるスポーツの中で最も偉大なプレーヤーはマイケル・ジョーダンだろう。当時アメリカの子どもたちに「最も尊敬する人」のアンケートをとったところ、1位がジョーダン、2位が父親、3位が大統領だったと言う。ジョーダンは今年で50歳だが、自身がオーナーを務めるシャーロット・ボブキャッツの現役プレーヤーに1on1で勝ってしまったというから驚きだ。

考える力

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僕が最も好きなサッカー選手はいつまでも中田英寿だ。彼は史上最高の選手ではないが、考えることで成功できるという無限の可能性を教えてくれた希有な存在だ。U-17のとき、彼の評価は「下手だけど走る選手」だったと言う。高校でもベルマーレでも代表でもペルージャでも、いつも最初は下の方だったが、その都度自分がやらなければいけないことを冷静に分析し、それをひたすら継続して、最終的にはチームのナンバーワンになった。本田圭佑をはじめとして以降のサッカー選手に与えた影響は限りなく大きい。

才能を凌駕する魂の力

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Soccer / Ashley Campbell Photography
スポーツ選手の背後に人生を見るから、 僕らは熱狂するのだろう。自分と同じ人間が、信じられないプレーをする、そこまでに至った過程のドラマがあるから、心が震えるのだろう。

最も成功したスポーツ選手に共通しているのは、天賦の才ではなく「魂」だ。神様と呼ばれるマイケル・ジョーダンは世界一のプレーヤーである前に、世界一の負けず嫌いだと言われている。負けたくないから、誰よりも努力する。勝つ歓びを知っているから、ひたすらにボールにくらいつく。

才能はもちろん必要だが、闘う魂は時に才能を凌駕する。チャンスはどこにでも転がっている。足が遅ければパスを磨けばいい。テクニックがなければ誰よりも走ればいい。やれることはいくらでもある。スポーツは人生を教えてくれる。

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