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過日。用事ついでに都内をぷらぷらしてきました。

二子玉から自由が丘、学芸大、中目黒と、二十代前半を過ごした、僕が踏んだ街を巡る街さんぽ。

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中目黒駅を降りるのは何年ぶりか。

この辺は、スタイリッシュなお店や人々のアップタウンの雰囲気と、ホコリっぽい雑多な生命力が充満した下町情緒が同居した素敵なところだったんだけど、最近はだいぶ綺麗になりましたね。山の手と下町の中間、まさにミッドタウンという感じは、まだ残ってます。

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駅のすぐ裏にまわると目黒川にぶつかる。もうひと月も経たないうちに、辺り一面が桜の色に染まって、花見客でごった返すのでしょうが、今はまだちらほら小さな蕾がついている程度です。

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その目黒川にかかる日の出橋を渡ったところに、昼からやっている大衆居酒屋があります。

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大学生の頃よくここでへべれけになっていたものです。中目黒駅すぐというこの立地で、学生でもせんべろできる激安価格で、この外側のテラス席が最高でした。僕が通っていた頃は、窓なんてなくて、むきだしのオープンテラスだったんですけどね。桜の頃には、外で飲んでるみたいでとても気持ちよかった。

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この日はまだ時間が早かったのでお客さんが少ないけど、東南アジア系の威勢のいい女性スタッフたちの元気もあって、店内にはいつも活気があふれてます。

料理や味は、まあ本当の大衆居酒屋ですからね、おすすめの絶品料理って感じではないけど、枝豆と焼き茄子と厚揚げでくいっとビールをやる、っていうくらいの大人のたしなみがちょうどいいでしょう。

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ここで明るいうちから飲む至福はかわらないなあ。

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おっと、思い出した。ここでは生ビールではなくて、サッポロラガー(赤星)を飲むんだった。安いのもあるけど、熱処理された生でない日本最古のビールを飲める店はそうそうないそうですよ。

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明るいうちから飲みはじめて、気がついたら辺りが暮れていた、というのがこのお店の正当な味わい方。

宵の口に、無数の提灯が川面や街並みを煌々と照らすさまは、まるで夜の海に浮かぶイカ釣り漁船のよう。かつては、週末の夜になると橋のたもとで二胡を弾くおじさんが現れて、幻想的なメロディを奏でてくれました。今思い出すと、この情景にあのメロディって、奇跡なんじゃないかってくらいの取り合わせだったな。思い出はいつも美化されるものだけれど。

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テラス席には本当にイカ釣り漁船の集魚灯のような照明がある。

あたたかくなれば、ここの窓がすべて開け放たれて、街の喧噪や春の風が入りこんでくるのでしょう。

ここは駅からの通り道になっているせいか、道の両方向からとめどなく人が歩いてきます。足早に歩く通行人たちを眺めているだけでいつまでも飽きない。

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下町情緒があるとはいえ、中目黒だけあって、この日だけでも、タレントさんとか芸能人が歩いているのを何人か見かけました。みんなさりげなく、そして街の人もちゃんと見て見ぬふりをする。

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もうすこしあたたかくなってきたら、桜の季節をはずして、またのんびり飲みにいこう。

撮影:RICOH GRⅡ