豊洲野音CARNIVALで、一番心に残ったミュージシャンは「チャラン・ポ・ランタン」だった。

一発で、もってかれた

ももちゃんの声量あふれる圧倒的なボーカルと、小春の超絶技巧のアコーディオンが、夢野久作の世界に迷いこんだかのような、レトロで不思議でサーカスな世界観の中で躍動していた。

美空ひばりを思い出すももちゃんのコブシ

 

チャランポの魅力の半分は、ももちゃんのボーカルでできてる。

その小さな身体からは想像できないほどの重厚な低音と、伸びやかな声量と、昭和歌謡のテイストと、美空ひばりを彷彿とさせる力強いコブシまわし

衣装も含めてガーリーで可愛らしいルックスの彼女から、この圧倒的なボーカルが飛び出てくるだけで、たぶん多くの人はやられちゃう。

ステージでの立ち居振る舞いと表情もいい。豚のぬいぐるみを小脇に抱え、客をエロティックに挑発し、でもポップスターの顔も見える。

エディット・ピアフの「愛の賛歌」のカバーは圧巻(YouTubeで見てみて)。

場をホットにする小春のトークと超絶アコーディオン

 

豊洲野音でまず耳に飛びこんできたのは、小春の軽妙なMCパフォーマンスだった。観客をうまくツカんで、笑いが起きて、気づいたら引きこまれてる。

なんか心地よいなあ、どっかで感じたことある心地よさだなあ、と思っていたら、老練なスナックのママやゲイバーなど、夜の街で味わう心地よさに似てる。

とか思ってたら、小春は新宿ゴールデン街で長く流しのアコーディオンをやっていたらしく、今もたまにお店のカウンターに入ってるっていうんだから納得。まだ二十代なのに圧巻の客いじり技量の源はゴールデン街にあった。

大道芸人の道筋からミュージシャンになったというが、そのアコーディオン技量は本物。というか、無知な僕はアコーディオンという楽器の本当の魅力をまったくわかっていなかった。

「ギターは小さなオーケストラだ」と言ったのはベートーベンだったが、アコーディオンにも単体で空気を変えるだけの力がある、ってことを知った。

映画『バーレスク』に迷いこんだ感じ

 

チャランポを見ていると、映画『バーレスク』に出てくるショー・ラウンジを思い出す。

非現実的で不思議で、ちょっとエロティックな世界観の中に、圧倒的なまでの技量に基づいたパフォーマンスがある。

日本でバーレスクのようなお店はないものかと調べてみると、どうしてもややフーゾク的な趣になってしまい、残念だなあと思っていたんだけど、意外なところに日本のバーレスクを見つけてしまったような気分である。

ももちゃんと小春こそが、日本のクリスティーナ・アギレラ(がやってた役)なんだ。

映画『バーレスク』がそうであるように、チャランポにも女性ファンが多いというのも納得。これからのますますの活躍が楽しみだ。

チャラン・ポ・ランタン「サーカス・サーカス」

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