若い頃はイタリアンの料理人だった@RyuNagayamaです。
みんなが大好きなパスタですが、家で作るとメニューが偏ってしまうことが多くありませんか。いつも同じようなパスタソースでは飽きてしまうし、市販のソースを使うのもなんだかなあ。
ということで、僕が料理人だった頃に、パスタメニューやまかないを考えていたときの、とっておきの秘策をペイフォワードします。これでもう、あなたもパスタメニューには迷わないはず。
パスタには方程式があった!
Solution of Grade 9th Math problem / arjin j
これは僕の師匠だったシェフに教えていただいたのですが、料理というのはすべて数式で、パスタにもじつにシンプルな方程式があるのです。
- ソース
- 旨味
- 具材
- パスタ
- 仕上げ
という、5つのカテゴリに適正な答えを選択するだけで、好きな食材や旬の素材で誰でも美味しいパスタを作ることができます。
0.基本はペペロンチーノ
Spaghetti aglio, olio e pomodoro seco / Lablascovegmenu
方程式の5つのカテゴリを説明する前に、パスタのベースの話をします。
イタリア料理のベースとなる香味は、オリーブオイルとニンニクと唐辛子です。この3つの味をしっかりバランスよく出したのが「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」です。
すべて、とは言いませんが、このペペロンチーノがほとんどのパスタソースのベースになると考えていいでしょう。
大雑把に言ってしまえば、ペペロンチーノに他の食材やソースを足すことで、別のメニューが出来上がるのです。
※あくまでも基本です。例外もたくさんあるので後で詳述します。また、我が家のように子どもがいる家庭では唐辛子は控えましょうね。
1.ソースを決める
Cream source pasta with mushrooms / junyaogura
パスタが食べたい!というときに、まず頭に浮かぶのがソースの種類ですよね。基本的には以下の5つに分類されると思います。
- オイル系(基本のペペロンチーノ味)
- トマト系(ホールトマト)
- クリーム系(生クリーム)
- 和風(めんつゆ・醤油ベース)
- その他(バジル・イカスミソースなど)
2.旨味を決める
次に決めるのは、旨味(うまみ)のベースとなる食材です。和食で言う出汁(だし)ですね。その食材から旨味を引き出してソース全体の味のベースにします。
おだしをとっていない味噌汁が美味しくないように、旨味のないパスタも美味しくはなりません。
たとえば、カルボナーラの旨味は「ベーコン」や「パンチェッタ」。ボンゴレなら「アサリ」。ボロネーゼ(ミートソース)なら「挽肉」になります。
カルボナーラを作るときに、ベーコンを別に炒めてしまう人がいますが、これほどもったいないことはありません。ベーコンをカリッカリに炒めたところへ、パスタ湯(茹でるのに使う湯)を適量入れて、ベーコンの旨味と甘さをソースにするのです。この旨味がカルボナーラの中心の味であり、クリームやチーズや卵はその引き立て役でしかありません。
家庭でパスタを作るときに手軽で便利な「旨味食材」は、ソーセージや豚肉、鶏肉、ハム、スパムといった肉類や、アンチョビ、アサリなどの魚介類といったところですが、他にも素材の旨味が活かせるものだったらなんでもかまいません。
3.具材(野菜)を決める
旨味のベースが決まったら、次はそのほかの食材を決めます。
これは旨味食材に合うものを食感やボリュームで好きに選べばいいのですが、だいたいは野菜になるでしょう。ブロッコリやキャベツ、キノコなどは、たいていどんなメニューにも合う万能野菜なので重宝すると思います。
季節の美味しい野菜や自分が好きな野菜、旨味食材にマッチしそうなものなど、自由に選んでください。
冷蔵庫の残り野菜を処分したいときにもパスタは便利です。
4.パスタを選ぶ
ソースと具材が決まったら、パスタの種類を選びます。人それぞれ好みがあるかと思いますが、基本的には以下のように選べば失敗はありません。
- こってりした重いソースには、太めのパスタかショートパスタ(タリアテッレ・フェットチーネ・リングイネ・ペンネ・フジッリなど)
- あっさりした軽いソースには、細めのパスタ(スパゲッティーニ・フェデリーニ・カッペリーニなど)
一般的なスパゲッティは1.6 – 1.9mmですが、レストランや専門店ではそれより少し細いスパゲッティーニ(1.2 – 1.5mm)やフェデリーニ(1.0 – 1.4mm)を使うことが多いようです。スーパーに売っているスパゲッティにも太さが書いてあるので好みで選んでみるといいでしょう。
ちなみに我が家に常備しているのは、ディ・チェコ No.10 フェデリーニです。だいたいどこのスーパーにも置いてあるし、値段もそこそこなのに、味は抜群です。ぜひ一度、いつものパスタソースをディ・チェコで食べてみてください。パスタによってここまで味が違うのか、と思うはずです。
5.仕上げ
トッピングとも言いますが、お皿に盛りつけてから最後にアクセントとして加える仕上げはとても大事なものです。基本的な仕上げトッピングは以下のようになります。
- エクストラヴァージンオリーブオイル(オイル系、トマト系のパスタに食べる直前にさっとひとまわしすると、風味とコクが加わって美味しくなります)
- パルメザンチーズ(主にトマト系のパスタに使うが、オイル系にも合う。魚介を使ったパスタには用いません)
- 香草(バジル・イタリアンパセリ・大葉・万能ネギなど。乾燥ものよりフレッシュなものを使うと美味しい)
- ペペロンチーノオイル・コショウ・タバスコ(唐辛子の辛さを抽出したオリーブオイルを加えれば、ほどよい辛さと風味が出るのでオススメ。コショウは辛さより香り付け。タバスコはお酢が入っていて強烈なので、しっかりスパイシーにしたい場合にはいいです)
- 海苔(主に万能ネギと合わせて和風パスタに使う。和風パスタも丁寧に作るととても美味しいお皿が出来上がりますよ)
まとめ
食材の相性はもちろん大事ですが、このシンプルな方程式に当てはめて考えれば、冷蔵庫の残り物でもじゅうぶん美味しいパスタを作ることができます。
たとえば旨味食材がソーセージばかりであっても、ソースをトマト系にしたりクリーム系にしたり、野菜を替えるだけでもだいぶ違います。
ランチメニューが頻繁に替わるパスタ屋さんなどは、この方法を使っているところも多いんじゃないでしょうか。
次回は、この方程式を応用したメニューを紹介する実践編です。