Dr.ハウスは、医者のくせに患者を診断するのが大嫌いなおっさん。
見た目からして狡猾で、イヤミしか言わない。患者の心とか無視して傷つけることも少なくない、ぶっちゃけ人としてはサイテーの部類。
彼は診断はもちろん手術もしない。
ただ検査結果や症状から病気の原因を突きとめ、治療は部下に指示するだけ。
正直かなりムカつくおっさんだけど、誰も歯が立たない天才医師だから、ムカつくけどカッコイイ。カッコいいけどムカツク。どっちでもいい。
見はじめた頃は「なんだこのじじいは」と思ってたんだけど、だんだん彼の小気味よい低音ボイスでペラペラと飛び出す的確な皮肉に、ニヤニヤしてしまう僕。
同僚や患者に言うイヤミや皮肉が、あまりにも多く、あまりにひどくて、もう笑うしかないのである(笑)。
それにしてもハウスの声は、ちょうどよく低く、渋く、心地よい響きだ。英語はそのままで音の響きが美しい言語だが、ハウスの声で繰り出す皮肉は、皮肉にもより美しく響く。
Dr.ハウスは診察や治療はしないが、代わりに若く有望な三人の医師が彼の代わりに動きまわる。そのうちの一人の黒人が、どこかで見たことあると思ったら、北野武監督『ブラザー』に出てたオマー・エプスでした。
Dr.ハウスをひとことで言うと、医者というより、探偵か刑事。
刑事コロンボや古畑任三郎、最近なら『相棒』の杉下右京みたいな、変人だけどやたらと頭の切れる名刑事という感じ。
犯人はいないけど、病状と検査結果に加えて、患者の生活環境・背景・過去なども調べて難病の原因を突きとめる様は、まさに名探偵。
そこに医療現場における「生死」のドラマが加わったら、おもしろくないわけがない。
Dr.ハウスが、誰にも負けない優秀な頭脳を持ちながら、そんな変人になったのにはもちろん理由がありそうだ。
三人の部下たちも含めて、みんな傷を負ってる。
まだ数話しか見ていないのでわからないが、その傷がどういうものなのか、どうやって描かれていくのかも楽しみのひとつだ。
もちろん人はみんな傷を負ってる。でもその傷こそが、人の魅力になるってことを、Dr.ハウスは教えてくれる。