リハビリセンターの先生が言います。
「彼の頭の中にはとにかく余計なものがいーっぱいついてるのよ。障害うんぬんの前にね」
イケメンで女にもモテて勉強もできて、ちょっとワルいこともやって、生徒たちのヒエラルキーの頂点に近いところで余裕かまして生きてきた高橋は、それまで他人をA〜Eみたいにランキング付けして見下して生きてきたんだよね。
だから、歩けなくなった自分はEランク以下だと勝手に決めつけて、勝手に他人の目から自分を見下して、責めて、苦しくなってる。
高橋じゃなくても誰だって、悩んだり、アクティブに行動できなかったりするのって結局、頭の中に余計なものがいーっぱいつまってるんだよね。つまってたら、すばらしい本も教えも言葉もなーんも入ってこない。
そんでその「余計なもの」ってたいがい、「他人から見た自分」のこと。障害とかなんとか、目に見える問題じゃなくて、自分が他人からどう見られてるかばっかり気にしてるから。僕らは他人を見上げて、見下して生きるようにチューニングされてきたんだからしょうがないけどさ、そろそろそういうの取っぱらっちまったらいいよね。