天気予報は朝からの雪を告げていたが、まさか先日の大雪のようにはなるまいと踏んでいた。
オートバイで出勤した僕は、けっきょく約四十分をかけて徒歩で家に帰ってくることになった。
ひさしぶりに踏みしめる雪は、思ったよりも歩きにくくて、けれどなんだか愉しかった。
茅ヶ崎はなかなか雪が降らない。降っても積もることはほとんどなかった。
だからどの家も雪かきの道具なんて持っていないし、スタッドレスタイヤやチェーンとも無縁だ。
僕が幼少期を過ごした山梨県大月市は、冬には雪深い街だった。
いつも通っている路地裏の道を歩きながら、幼い頃を思い出す。
近所の仁王像も白に染まってる。
帰りにスーパーによって、今夜の夕食を買って帰る。
大人としては明日の天気が気になるけど、子どもに戻ると、明日の雪遊びにわくわくする。
とりあえず今週もぐでんぐでんに疲れた。今日はしんしんと降る雪の音を聞こう。
2014年2月14日午後7時37分。リビングのソファにて。さっきまでだったら信じられないくらいにあったかい部屋と家族の中で安堵の溜息を漏らしながら。