『STAND BY ME ドラえもん』レビュー/ CGで描かれるリアルな世界観。僕は泣けなかったけど、ドラえもんはいつだって子どもたちのヒーローだ。

sbmdora

今を代表する日本の泣かせ屋映像作家が集結した本作。Stand by me っていうタイトルいいですよね。

 

ストーリー

何をやらせても冴えない少年のび太の前に現れたのは、22世紀から来たのび太の孫のセワシと、ネコ型ロボット・ドラえもんだった。

そこで聞かされたのは、のび太とその子孫たちの未来。のび太は会社に就職出来ず、自分で会社を作るも倒産。莫大な借金を残し、子供達を困らせているという。

そんなのび太の未来を変えるため、お世話係として連れて来られたドラえもんだったが、乗り気ではない。そこでセワシはドラえもんに<成し遂げプログラム>をセットして、のび太を幸せにしない限り、22世紀に帰れなくしてしまう。

嫌々ながらも、のび太と暮らすことになったドラえもんだったが、次第に仲良くなる二人。そして、のび太の幸せのため、クラスメイトのしずかちゃんとの結婚を目指すことになる。

果たして、のび太は幸せな未来を手に入れることができるのか。そして、ドラえもんは22世紀に帰ることができるのか。

___公式サイトより抜粋

予告編

CG映像がすばらしい。ドラえもんが本当にいたらこんな感じなんだろうな。

CGのドラえもんてどうなのかな、と若干の不安があったんだけど、映像は本当にすばらしかったです。ピクサーファンなのでちょっとなめてたんだけど、すごいクオリティでしたよ。

のび太とかしずかちゃんとか、人間のキャラには最初違和感があったけど、2Dのアニメのキャラとは違う、新しいキャラクターみたいで逆に楽しめた感じもします。

あとやっぱり3Dになると、ドラえもんの姿形がリアルにどうなってるのかがわかっておもしろかった。だって2Dだと、前から見ても横から見ても後ろから見ても、ドラえもんて丸いだけだけど、3Dだと顔の大きさとかが部屋や人間との対比でよくわかるんです。

うまく説明できないから見てもらうのが一番なんだけど、個人的には「ああ、ドラえもんて本当にいたらこんな感じなんだな」っていう感慨がとても楽しかったです。

未来道具が超リアルで楽しい。

東京生まれドラえもん育ちの僕がうれしかったのは、ドラえもんの道具がすげーリアルだったこと。

タケコプター、どこでもドア、暗記パン、ガリバートンネル、透明マント、タイムふろしきなど、お馴染みの未来道具がバンバン出てくるんだけど、そのデザインや機能性の描き方がすばらしいんですわ。ちゃんと未来っぽく仕上がってて、未来の街並みの描写もそうだけど、そういう道具とかを見るだけでもすごく楽しめます。

はじめてタケコプターを使うシーンなんて、リアルで美しくて思わずうなってしまいましたよ。

タケコプターってどうやって操縦しているのかわからないじゃないですか。そういうのもわかるし、あんなもんで人間が空飛んじゃうなんてあり得ないんだけど、リアルに見えるように描かれてるんです。

あと予告編でも見れるけど、タイムマシンが超カッコイイ!本作はメカデザインがマジ秀逸ですよ!

のび太が未来で乗ってる車もかっこよかったし。ちなみにCMでドラえもんを起用しているだけあって、のび太の車にはしっかりTOYOTAのマークが描かれてました。しかも大人のドラえもんの声は妻夫木聡さんが担当してるとか、僕は気づかなかったけど。

スゲー秀作だけど、エピソードのつなぎが……。

子供経験者の僕ら大人にとっては、とにかく今まで見たことのないリアルなドラえもんとその世界観だけでとても楽しめるんだけど、ストーリー展開だけを言えば、やっぱり詰めこみすぎたな、という印象は否めない。

ドラえもん第一話「未来の国からはるばると」や「のび太の結婚前夜」、「さようならドラえもん」なんかの泣ける人気エピソードをうまく繋げてはいるんだけど、やっぱりどうしても尺の制限があるので、全体的に底が浅いというかあっさりした仕上がりになっちゃいましたかね。

僕はドラ泣きできなかったけど、子どもたちは涙ぽろぽろ。

ていうかね、総じてすばらしい映画なんだけど、プロモーション段階で「このドラえもん泣けまっせ」っていうのをゴリ押しされたもんだから、僕の期待値が上がりすぎてたんでしょうね。

しずかちゃんが結婚前夜にお父さんと話す有名なシーンは、さすがにジーンときましたけど、他の泣かせシーンに関しては、すでに原作で知っているだけあって、あんまり心には沁みませんでした。

もうね、CG映像も未来感覚の描写も、のび太や他の人間キャラクターの心理描写も、うまくエピソードを繋いだ脚本も抜群でね、観ている途中で「よくできてる映画だなあ」と独りでうなずいていただけにね、結果としてこう、泣けなかった、という一点が残るのは複雑な気分というか、やっぱり表現にプロモーションとか事前情報ってないほうがいいよなあ、と個人的に思いました。

ちなみに9歳の長女と5歳の次女は映画館で「ドラ泣き」してたんで、やっぱり子どもたちのヒーローなんですよねドラちゃんは。ぼかあ、薄汚い大人になっちゃったんだなあ(笑)。

それでも楽しかった!★★★☆☆

ということで星3つ評価。制作者サイドからしたら大満足の出来映えだったんじゃないでしょうか。

初の3D CGで大人も泣けるってことで話題にはなったけど、大人はそのぶん期待値が上がってしまう傾向があるかもしれません。それでも何度も言うように、よく仕上がってると思います。

個人的には、エピソードを分けてじっくり描いたほうが、後に残す映画作品としてはよかったと思いました。

大人になったのび太が「ドラえもんは、僕の子どもの頃の友だちだから……」みたいなことを言うシーンがあるんだけど、泣けなかった大人の僕は、泣きじゃくってる子どもたちを眺めて、その通りかもしれないな、と思いました。