コラム/エッセイ

それがたとえ、わかってしまえばイージーだが、腑に落ちるまではなかなかヘヴィなものだとしても。

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「あなたは、毎日が楽しくてしょうがないんでしょうね」

と言われることがある。答えはイエスであり、ノーだ。

たしかに僕は幸いにも、こころの悟りのようなものを得て、以前とは比べものにならないくらい気楽に毎日を過ごしている。そりゃあ楽しくてしょうがない、という日だってたくさんある。

けれど僕にだって、小さな悩みや問題になぶられる日はあるのだ。

長男が爪を切らない、庭の雑草が伸びすぎている、仔猫の噛みつき癖がなおらない、煙草がやめられないといった些細なものから、あるいはなんの理由もなく朝からひどくイライラして、かといって誰かや何かを責めることもできず、どうしようもない自分をもてあますことだってある。

ただ僕は、そんなもやもやした自分をもてあましながらも、そこから戻ってくる術(すべ)を知っている。わかってしまえばとてもイージーだが、腑に落ちるまではなかなかヘヴィな術を。

あるときは部屋の後ろの方から自分の背中を眺めることによって、あるときは宇宙開闢の歴史に思いを馳せることによって、あるときは気分にまかせて街や海を歩くことによって、あるときはただひたすら眠りつづけることによって、僕は小さな悩みや問題から、いつもの場所へ戻ってくることができる。

それは何度も言うけれど、わかってしまえばイージーだが、腑に落ちるまではなかなかヘヴィな方法だ。

でも僕はそれを、まったく知らないあなたにも伝えることができるんじゃないかと思っている。

逆に古き良き小説なんかを読んでいると、伝えられると思っているのは本人だけで、本当は本を読んでも教えられても熱心に学んでも、なにひとつ伝わっていないんじゃないかと思うこともある。

でも今のところは、すべてとは言わないにしても、僕らの毎日を気づかぬうちに暗闇に染めていく些細な悩みや問題から、いつもの場所に戻る方法を、あなたにだって伝えられるんじゃないかって信じてる。それがたとえ、わかってしまえばイージーだが、腑に落ちるまではなかなかヘヴィなものだとしても。

言い忘れていたけど、いつもの場所っていうのは、こういうところのことだ。

何か大変なことがあっても、ふっと微笑みながら、すぐに立ちあがって行動し、誰かを心から愛していると確信しながら、また自分も心から愛されていると確信しながら、自分が本当に好きなことを選んで、大切な人を大切にしながら、明日の朝を迎えることに心を躍らせながら眠りにつく、そんな場所だ。

今は信じられないかもしれないが、あなたにも、そんな場所はきっとある。

▶連絡先:りゅう

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