「そいつをまず認めろ」リアル(7)

車イスバスケチーム・タイガースのエース・戸川は、強豪ドリームスとの試合で、徹底的なマンツーマン・ディフェンスに動きを封じられてしまい、ほとんどボールに触れないでいた。

ベンチから野宮が言う。

「ビンス、そいつをまず認めろ」

戸川は敵チームにいる日本代表の強敵との対戦のことばかりが気になってしまい、自分をマークしている格下選手のことを見ていなかった。

冷静になって、彼を認め、敬意を表して、引いてみて初めて、自分の見ていた視野が狭くなっていただけだと気づく。

「おお、広いや。抜くコースは無限にある」

うまくいかないときって、目の前の大事なことを見落としてる場合が多い。

仕事だお金だ夢だなんだって、大きくて輝かしい何かにばかり執着していると、本当に大切なことを見失う。それはたいてい、小さくて地味でどうでもいいように見える「日々の暮らし」だったりする。

僕らは夢を叶えるために生きてるんじゃなくて、今この瞬間に笑うために生きてる。

肩の力を抜いて、引いてみる。ナメてることを認めて、敬意を表してみる。 そしたらきっと見えてくるものがあるんじゃね?