映画

衝撃の「シン・ゴジラ」の裏に隠された庵野式マーケティング

Img visual jp

「シン・ゴジラ」見ながら、おもわずワッハッハッハッハって笑っちゃいました。あまりの衝撃を受けると笑っちゃうんです僕。

「やられたわー!」「そうきたかー!」「くそー!」「まいったぜー!」と心で呟きつつ笑うしかなかった。

具体的にどのシーンの何に衝撃を受けたのかはネタバレになるので書かないけど、その衝撃が仕組まれたものだということはわかったので、マーケティング的におもしろいところ紹介します。

結論から言うと、鬼才・庵野秀明総監督が計算して仕組んだ綿密で大胆な戦略によって、観客は劇場で最大限の「衝撃」を受けて、僕のような従順な映画ファンは驚きのあまりワッハッハッハと笑ってしまったのです。

わざと作ったダメダメ予告編

エヴァンゲリオンで世界を席巻した庵野秀明監督が日本映画の宝「ゴジラ」シリーズを12年ぶりに任される!というニュースを聞いたときは驚いたけど、でも同時に「庵野で大丈夫か?」という不安もなくはなかった。アニメでの実績はあっても、実写でしかも特撮でこの時代にゴジラですよ。

そんな不安を確信させたのが、この予告編。

ゴジラはフルCGだとか、キャストがスゴイとか、いろいろ情報が流れつつ、この予告編はどっからどう見ても「やらかしちゃった失敗作」の予感に溢れた「ヤバイ予告編」でした。庵野でもムリだったか〜って正直思った。

だもんで、庵野ファンの僕もじつは溢れんばかりの期待を胸に劇場へ足を運んだのではなく、ぶっちゃけほとんど期待もせず「とりあえず見とかないとな」という冷静な佇まいで鑑賞したのです。

そしたら!!!

予告編ぜんっぜん予告編じゃなかった!!!

予告編くっそつまんないところだけ集めたやつだった!!!

ワッハッハッハッハ!!!

ですよ。

ふつう、映画に100個のシーンがあるとしたら、予告編はそのうちの「一番オモシロイ」シーン(=ハイライト・シーン)10個だけを集めて、うまく繋ぎあわせて編集して、映画のオモシロさを凝縮させて作るものだけど、シン・ゴジラの予告編は

一番つまらないシーンばっかりを集めたダメダメ予告編(´Д⊂ヽ

なんですね。

ゴジラが登場するとき○○だとか、あれしたらこうなってこんなスゴイことになっちゃう!とか、あの人があんなことに!とか、石原さとみちゃんがなんだかんだ、っていう、作品の一番エキサイティングでみんなの興味を引くハイライト部分をあえて「捨てて」作った予告編。

その「ダメダメ予告編」によって極限まで下がったハードルで鑑賞するので、実際の本編のシン・ゴジラに度肝を抜かれるわけです!

僕ら消費者が宣伝するマーケティングの時代

映画メディアとかで書いてる僕が言うのもなんだけど、映画鑑賞にいちばん大事なことは「事前情報を入れないこと」じゃないですか。情報によって作品のハードルが上下すると、初見のインパクトに大きく影響しますから。

作品の評判が良くてハードルが上がった状態というのは、オモシロイのが来るぞ!来るぞ!と期待しているので、今からもらうパンチを受ける覚悟で腹に力が入ってるんです。だからそんなにパンチは効かない。

でも今回のシン・ゴジラのようにダメダメ予告編でハードルが下がりまくっていると、パンチに身構えてなんかいないので、油断したところにバコーン!と強烈な一発をもらって、ノックアウトされちゃうんですね。

とはいえ、初速が何より重要な興行収入の面から考えても、作品自体にそうとう自信がなければできない戦略です。

と同時に、いくら事前の宣伝に力を入れても、今はインターネットの口コミの力の方が大きいという判断もあったのでしょう。広告主がテレビや雑誌からインターネットにシフトしたように、宣伝もメディアより消費者の口コミを使うという。

ちなみに「アイアムアヒーロー」も同じ戦略でしたね。予告編では「新感覚エンタテイメント」なんてコピーでポップでキャッチーなイメージを出してたけど、実際はバカバカ血が出まくって途中で帰っちゃうお客さんがいるくらいのグロ映画でしたから。あれもビビッた!

たしかにこれはマーケティングの手法が変わっていくのを見るいい例かもしれませんわ。宣伝担当は庵野秀明総監督本人だそうです!確信犯!

極限までネタバレを排除して、自分からは売り込まないことで、見つけた消費者は自分がそれを言いたくなりますからね。

制作側が映画の素晴らしさを語るより、僕ら消費者が興奮して発信した方が効果はあるでしょう。今まさに僕がこんな記事を書いているのがその証拠ですわ!もっかい見にいこうーっとチャオー\(^O^)/


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