水戸黄門が愛されるのは、毎回「お決まりのパターン」だからだそうです。
ちびまる子ちゃんやサザエさんも同じで、長寿番組の人気は「お決まりのパターンを味わって安堵する」ところにある。
映画『ザ・レジェンド』は、「ニコラス・ケイジとヘイデン・クリステンセンが中国で用心棒になる」という珍妙で特異な設定なんだけど、物語の根幹は「お決まりのパターン」なんですね。
だからもう手放しで見ていられる。余計な心配をせずに楽しめるアクション映画です。
十字軍最強の騎士が、中国皇帝の用心棒に!
物語
12世紀、十字軍の騎士として一騎当千の活躍により「最強」の名を手に入れた二人の男、ガレインとジェイコブ。しかし彼らはその無益な戦いに疲れ果て、極東・中国の地へ旅立ったー。
彼の地では皇帝が長男シンに暗殺され、跡継ぎ争いに巻き込まれた弟の皇子とその姉は命を追われる身となっていた。偶然彼らを助けたことで、王族の用心棒となったガレインとジェイコブは、迫り来る追っ手をかいくぐり、一国の危機を救うことができるのかー!?
予告編
わかりやすい日本の時代劇
今回は、映画タイトルどころか出演俳優もどこの国の映画なのかも知らずに鑑賞するという、珍しい試写をさせてもらったんだけど、それでも見ているうちに、だんだん物語の流れが見えてくるんです。
「あ、このイケメンが主人公だな」
「こいつ後で重要な役割でまた出てくるな」
「ゼッテーこいつがラスボスだわ」
「こいつ、死ぬな……w」
とか、良い意味でストーリーが想像できて、それがわりと当たるから、なんか気持ちいいという(笑)。
まさにこれ、日本の時代劇なんですよね。
見るからに主人公と、見るからに悪党と、見るからに弱き民と、本当にわかりやすい。
ヘイデンが超イケメン
ニコラス・ケイジが目立ちすぎだけど、主演はヘイデン・クリステンセン。
若き日のダース・ベイダー「アナキン・スカイウォーカー」を演じたスターウォーズシリーズが有名ですね。
ヘイデンはちょっとアクのある顔立ちというか、ダークな印象のあるイケメンなので(だからアナキンに選ばれたんだろうな)、こういう正統派の主人公は珍しいんだけど、今回は素直にイケメンでした。
「アカデミーアクの強い顔賞」があれば毎年受賞して殿堂入り確実のニコラス・ケイジが共演なので、ヘイデンのアクも薄まったのかもしれないけど、同席していた女性陣も「超イケメン♡」って言ってましたし。
戦モノは家族愛でいつも涙する
女性はヘイデンに見惚れていればいいけど、パパはいつものとおり、妻や子どもが命を張ったりする「家族愛」のシーンが出てくる度に、おいおいと涙が溢れてきます。
「すべての芸術は家族を描いている」というのは本当で、バトルシーンの多い勧善懲悪の戦モノでも、いたるところで家族が家族を守ろうと涙しているわけです。
人間て、歳を重ねれば重ねるほど「家族」が大事になってきますからね。
家族がいなければあなたは生まれなかったし、家族を作るために僕らは生まれているわけです。
本当はかわいそうなラスボス(ちょいネタバレ)
わかりやすい勧善懲悪だって書いてきたけど、じつはラスボスのシンだって深い悲哀を抱えていたり、主人公だってダメ野郎だったり、そう単純なわけじゃないんです。
まあそういうキャラ設定も含めて、お決まりのパターンであることも否めないけど、ただの強欲な敵に見えたシンも、鑑賞後にはなんだか切なく感じたりもするのでした。
強大な武力を誇り、父と国のために全てを捧げながら、父にも母にも弟にも妹にも愛されず、あげく皇帝を継ぐこともできなかった哀しい男に残されているのは、悪の道しかなかったでしょう。
若い頃からずっとガンガンつっぱって戦ってきた男が
「おまえには継がせないよ、次の皇帝は弟ねー」
とか言われて、
「オッケー僕がちゃんとサポートするねー♫」
とはいかないでしょう。そんな変わり身ができる男だったら、こんなに強くもなれていないはず。
だから彼は、哀しみを背負って、自分が悪であると認識しながら、国を率いていこうとしていたのです。
それに比べてヘイデンとケイジの2人ときたら、軟弱軟弱!
自分のせいで無害な女子供が死んじゃった心の傷から逃げるために、ヨーロッパからはるか中国まで渡って、あげくのはてに1人はアヘン中毒、もう1人はアル中に身を落とす始末。
暗い影を落とす放浪人みたいになってたけど、シンの方がよっぽど哀しみを背負ってつらいっちゅうねん!
「人の国まで来て酒やクスリに溺れて迷惑かけるな!」
と言いたくもなる。
▲ 人の国に来て酒飲んで暴れる男(笑)
まあ、そのへんのツッコミどころも含めて、本当に脳天気に楽しめるいい映画でしたよ♫
ヤク中やアル中はダメだけど、映画中毒は無害ながら、心の救いになったりもしますからね。
時代劇好きやイケメン好き、「リービング・ラスベガス」以来のニコラス・ケイジのアル中ダメっぷりを見たい人には、ぜひオススメです!
公開は6月12日ですよー。
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