女はちょっとイカれてるくらいがいい『スーサイド・スクワッド』

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のっけからネタバレしてしまうけど、アメコミの悪者軍団の敵が「魔女」っていうのはどうなんでしょう(笑)。

こっちにも手の平から炎を出す奴とかワニ男とかのメタヒューマンと呼ばれる能力者がいるし、アメコミ映画の設定に文句言うつもりはないですけど、個人的にはもっと「クレイジーでクールなワル」を期待していたので、映像的にも途中からゴースト・バスターズ見てるのかと思っちゃった。

その気になれば悪者部隊どころか世界を一瞬で滅ぼせそうなほどのパワーを持った古代の魔女を相手にするよりは、世界中でウヒョーって調子に乗ってる極悪犯罪者たちを、余裕の一撃でバッサバッサとなぎ倒して、悪者としてのレベルの違いを見せつけて、そのまま勢いだけでガーッとエネルギー全開でエンディングになだれ込んだらクールだったと思うんだけどな。

とはいえ、ひとことで言えば「大人が本気でスタイリッシュに遊んだ映画」みたいな感じで、けっこう気に入ってます。

古い話になっちゃうけど、スタローンの『ランボー』シリーズって、もともとベトナム帰還兵のリアルな悲哀みたいなのがテーマにあるから、けっこうケガしたりやられたり苦戦してヒューマンな展開なんだけど、同じ「元特殊部隊モノ」でも、シュワルツェネッガーの『コマンドー』って、あいつが本気出したらマジ最強で誰も歯が立たない!っていう単純なスペクタクルが気持ちよかったんですよね。

本作にもそんな『コマンドー』的な何も考えなくていい爽快感を期待してしまっていたんだけど、ちょっと違ったね。主人公が悪者ばかりなので、「本当に悪いのは誰か」とか「悪に染まってしまった因果」みたいなヒューマンな展開が出ちゃうのはしょうがないけど、北野武の『アウトレイジ』シリーズみたいにカラッカラにドライに「こいつらマジでひたすら悪者だなあ」って笑い飛ばしたかった気もする。

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そう考えると、アメコミのヴィラン(悪役)って、火曜サスペンスの犯人とかと一緒で、みんな、悪いというよりは、かわいそうだったり哀しい奴が多いんですかね? もはや顔を見るだけでお涙を誘うヒューマンな役者になってしまったウィル・スミスなんてまさにそうで、娘のことばかり考えてるし、仲間への情は厚いし、ぜんぜん悪者じゃない(笑)。『メン・イン・ブラック』くらいぶっ飛んでたらおもしろかったのに。

ぶっ飛んでるといえば、マドンナのハーレイ・クインちゃんだけど、マーゴット・ロビーはホントにハマリ役でしたねこれ。彼女って『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のときも、ひとめ見ただけで抽んでた絶世の美女だってわかるんだけど、ブロンド白人美女特有のツンデレ感というか、カワイイとドSのちょうど真ん中のお顔立ちなので、マザコン&欧米コンプレックス丸出しの僕とかはとっつきにくいんですよね。それがこのハーレイちゃんていうイッちゃってる特殊すぎる役だと、そのドS感が薄まって、あんなモンスターメイクなのにやたらかわいく見えちゃったりして。

絶対一番最初に死ぬだろうとふんでいたブーメランが言った「女はちょっとイカれてるくらいがいいんだよ」なんてセリフがなかなかクールでしたね。ちなみにハーレイちゃんに言ったセリフじゃないんだけどね。現実の世界でぶっ飛んでる女って困っちゃうけど、ちょっとイカれてる=crazy about something な女性って、スキがありそうでいいじゃないですか。

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個人的には挿入歌の選曲がよかったですね。予告編なんかクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の迫力がモノをいった仕上がりだったし、本編の冒頭はいきなりアニマルズの『朝日のあたる家』ですからね。スタイリッシュで近代的パンクな世界観に、六十年代の名曲をかぶせてきた冒頭にはニヤニヤしちゃいました。

他にもストーンズの『悪魔を憐れむ歌』からエミネムやカニエ、最新のヒップホップまで、全体を通してクールな選曲に興奮してたんだけど、帰りにiPhoneのApple Musicでサントラを検索してみたら、その辺の楽曲がひとつも入ってないじゃないの! ってことで、帰宅してからネットで調べたら、本作で使われている全挿入歌のリストを見つけたので、あらためてApple Musicで一曲ずつ探してコンプリート・プレイリストを自作しましたよ!これはマジクールだと一人で喜んでます。

ハーレイちゃんを含めた悪者たちのみんなが、心の底では「normal=ふつう」を求めていたってくだりは、もっと掘り下げたらエグイ感じになりそうでしたけどね。世の中には、生まれた瞬間から他人の痛みがわからない(から容赦なく他者に暴力を加えることができる)というある意味「超人」的な人間が一定数いるらしいですけど、彼らはどうもそういったメタヒューマンではなくて、哀しい運命に翻弄されて不本意ながらダークサイドに身を落としてしまった元善人ばかりのようです。

それにしてもしつこいけど、魔女じゃねえだろう。まさかヒース・レジャー以上のジョーカーは今後出てこないと思ってたのに、あっけらかんとしていながらあっさり違う狂気を見せてくれたジャレッド・レトの新ジョーカーがすごくよかったんですよ。だけど6313歳の本物の魔女が出てきたら勝てないもんね。

もし続編があるのなら、漫画版デビルマンのように味方がみんなえげつなく死んでくれたら傑作の予感がしないでもないでもないですけど。あるいはバットマンたちがみんな死んじゃうとか、こういうクレイジーなのはクールにぶっ飛んでほしいな。

予告編