バターみたいにとろけちまいそうな猛暑の日曜日。
朝七時半にはもう地獄の業火のような炎天下。
アン(ラブラドール・レトリバー黒・♀・1歳)と海に飛びこんで駆けまわった後は、砂と泥にまみれた黒い毛皮をよく洗ってやり、私もシャワーで汚れを落とし、暴れるアンを追いかけてタオルで拭きあげたら、もうヘロヘロ。
それでも、少し休んで、風の通る書斎でちょっとノートを整理してから、私はチャリで家を出る。
図書館の読書室で、ちょいとお仕事。
さあ、再出発。うん、いい感じに視界はクリアだ。世界に豊かさを循環しよう。ルート、オールグリーン!
二時間ほど粘ってから、遅めのランチを食べに駅前へ。
それにしても暑い。暑すぎるだろう。薄着の女性も多く、サングラス日和😎
やはり冷たいものが食べたいところだが、茅ヶ崎冷麺舎は閉店しちゃったし、むさし乃の冷やしたぬき蕎麦はこの前食べたし、冷やしラーメンをアテにしていた横濱屋は来週までお休みらしいし、とにかく涼しいところでのんびりなんか食いてえええ。
ぶらぶらと茅ヶ崎ラスカを歩いてみるも、日曜日ということでレストラン街は大混雑。
最近の座右の銘は、──なんとなくこっち──なので、なんとなく歩いてたら、なんとなく胡麻ダレ冷やし中華の貼り紙が目に入る。
見るとそこは、ラスカのお土産お菓子売場近くの、台湾茶専門店。
タピオカ屋さんかと思ってたら、どうやらタピオカや台湾茶をメインに、かるめのフードも扱う台湾風ファーストフード、といったところか。落ちついた内装がお洒落で、台湾茶スタバ、みたいな。ちげーか。
うん、胡麻ダレが甘くて、汗と塩にまみれた中年の身体によく沁みいるわい。
そして、暑いときこそ、熱いジャスミンティーで汗が引く。おいしいけど、紙コップて笑。
炎天下のビーチを這いずりまわって、集中して仕事して、昼飯食ったらそりゃ眠い。
まどろむようになんとなく眺めてみると、この店はゆったりめのソファ席が多く、駅ビルらしくエアコンがキンキンに効いていて、猛暑から逃げこむ穴場としてちょうどいいかもしれないな。
味はまあ、格別にうまい、というわけでもないけど、気が張らなくてちょうどいい程度においしい。
オジさんになってくると、ちょうどいい、がちょうどいい。歳を重ねるのもわるくはないのさ。
暗めのトーンで落ちついた照明や椅子の景色が目にもやさしい。オリエンタルな音楽がひかえめに流れてる。
──ああ、心も涼しいな。
そんなことを思いながら、また炎天下の外へ出る。
アンは今頃、エアコンで冷蔵庫みたいに冷えた部屋で、だらしなく身体を伸ばしてのんびり昼寝でもしてるんだろう。
私が帰ったらはしゃぎまわるんだろうな。私は昼寝もできず、また夕方の散歩に連れまわされて、ヘロヘロになるんだろう。
苦笑して歩き出す。さっきまでの心の涼やかさはいずこ、ああ暑い。バターみたいにとろけちまう。