「それがホントにあなたの本気なの?」
だいぶ前だけど、得意先の担当さんにそう言われたことがある。
精いっぱい仕事をしているのに、その人にはいつも何かしら注意を受けるので、僕は平謝りしながらも、内心はふてくされていた。
僕は一生懸命やってるじゃないか!これ以上何をしたら満足してくれるんだよ!と。
ところが、映画が始まってしばらくすると、何やら違和感を感じる。
最新の映像技術と良質の脚本でどれだけ僕を高ぶらせてくれるの!という期待が徐々にしぼんでいく。
あれ?もしかしてつまらない?
ストーリーだけでなく、ロボットや怪獣のデザインやその質感、キャラクターのリアリティにいたるまで、すべてが陳腐に見えてくる。
180億円もかけて、これ?
というのが正直な感想で、週末で眠かったのもあって途中で観るのをやめてしまった。
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先日観た『ゼロ・グラビティ』のクオリティがあまりにも高かったので、見劣りしてしまっているのかもしれない。
だとしても、これだけの制作費をかけているのに、こんな出来になってしまったのはなぜなんだろうかと、思わず首をかしげてしまった。
『ゼロ・グラビティ』の制作費は100億円と言われているので、『パシフィック・リム』のほうが倍くらいかかってる。
制作費がすべてではないけれど、『パシフィック・リム』の監督をはじめとしたスタッフが「本気」で映画を制作したことは間違いない。
けれど『ゼロ・グラビティ』は多くの人の心を揺さぶり、『パシフィック・リム』は、子どもだましの残念な仕上がりになってしまい、それは興行収入や各映画賞の結果を見れば如実に見て取れてしまう。
ざっくりと喝破してしまえば、『パシフィック・リム』陣営の「本気」は、「本気の本気」ではなかったのだと思う。
エヴァンゲリオンの設定や怪獣映画のモチーフを持ちこみ、日本のロボットアニメにオマージュを捧げ、最新の技術でそれらを映像化した超大作、という前提の元に、意地悪に言えばお祭り気分のような「本気」だったのではないだろうか。
それに引き換え『ゼロ・グラビティ』は、地味な脚本にたった二人のキャストということもあってか、映画関係者たちからは、あんなの絶対にヒットしないよ、などと揶揄されていたという。
つまり『ゼロ・グラビティ』はそういう難しいチャレンジだったからこそ、監督をはじめとしたスタッフは「本気の本気」で、いい映画を撮ろうとしていたのだろう。
『パシフィック・リム』にだって、いい映画にしよう、という熱意が込められているだろうけど、「世界を驚かせてやろう!」という『ゼロ・グラビティ』陣営の「本気の本気」の情熱には及ばなかったのだ。
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僕は今年、一日を全力で精いっぱい生きるための工夫をしている。
食事を節制し、睡眠の質を保ち、体調やメンタルというレベルから心技体のすべてを自己管理をして、持てる能力を最大限に発揮できるようにしているつもりだ。
だから今年は、昨年の自分のふがいなさや、足りなかった部分が手に取るようにわかる。
だから、得意先の担当さんに言われた言葉も、今は納得がいくのだ。
あのときの僕の本気は、「本気の本気」ではなかった。
当時は精いっぱいやっているつもりだったけれど、いわばそれは「熱意なくイヤイヤやっている仕事において、どうにかトラブルを避けるための本気」でしかなかったのだ。それは本気とは言わないわけだけど、当人にはわからないんだよね、渦中にいると。
「本気の本気」を継続していけば、いつかは『ゼロ・グラビティ』みたいに、多くの人に感動と喜びを届けられるのだと信じて、これからも精いっぱい生きていこうとあらためて思う今夜なのです。
ていうか、「本気の本気」でやっている人たちが第一線でしのぎを削っているわけで、逆に言えばそれは、抜きん出るための最低条件だということ。この歳にしてようやくスタートラインに立てたということでしかない。
でも親父がよく言ってました。
「今日という日は残りの人生の最初の一日」
今日が一番若いんです。今日もありがとう。
平成26年1月11日(土) キッチンテーブルにて。めずらしくクラシックを聴きながら曇った窓ガラスを見つめて。明日はDpub9。
追記)いろいろ書いたけど、『パシフィック・リム』と『ゼロ・グラビティ』では、対象としている年齢や客層もコンセプトも違うから、もちろんすべてを否定しているわけではないっす。
今日のランニング
諸々の事情で、土曜日だけは走らないようにしている。けれど今日は走りたかったな。今後どうしようか検討しよう。
今日のゴハン
唐突に食べたくなって揚げ出し豆腐を作った。今度はナスと鶏肉も入れよう。
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