先週は、デジタル・デトックスだとか、ブログ休暇だとかカッコつけて、プライベートに休養期間を設けたわけだが、何のことはない。
言ってみれば、年末年始に夢や目標を描いているうちにテンションがMAXまで上がってしまい、非現実的でおめでたいスケジュールを組んでしまった挙げ句に、約一ヶ月で息切れして、このままでは計画が破綻してしまうからと、倒れこむように休養を取っただけだ。
これは、いくつになっても、かけ間違えたハシゴに登ってみないと気がつかない馬鹿な男の反省と告白の記録である。
お正月に心身ともに最高にリラックスして、活力を取りもどした僕は、新年というわかりやすい区切りに気持ちが上がりまくって、あらゆることに手を出して、あらゆる「素晴らしいこと」「自分を成長させてくれること」「良習慣」といったものを、ルーチンワークに加えていった。
そんな一月の僕は、まるで疾風のようだった。
家では早朝の四時からバリバリ作業をして、ランニングに出ればどこまでも走ってしまいそうで、会社では誰よりも明るく元気で、すべての取引先、お客さん、同僚たちと対等以上に渡り合い、ブログを書けばいくらでも書けるし、世界はすべて僕の味方のような気がした。
習慣化の鬼・立花岳志さんはこう言う。
「人生を劇的に変えるとは、ニュートラルのレベルをコツコツ上げていくこと」 | No Second Life
そんなことはわかっているつもりだった。立花さんはこうも言う。
「徹底的を習慣化して、淡々とやる」 | No Second Life
これもわかっているつもりだった。
けれど一月の僕は正気を失っていたのだろう。
あるいは大晦日から正月にかけて呑んだ大量のお酒が、完全に抜けていなくて、一月のあいだずっと、僕は微かに酔っぱらいつづけていたのかもしれない。
一月十二日に開催されたDpubでも、楽しくて楽しくてたくさん呑んでしまったので、そのせいかもしれない。
いずれにせよ一月の僕は、これまでにないほどの万能感と多幸感に支配され、自分にできないことはないような気すらしていた。
こういうことを言うと、躁鬱の気があるなどと疑われそうだが、あえて否定はしない。
ともあれ大事なことはそこじゃない。
ふわふわと浮かれたような一月ではあったものの、それはただ単純に躁状態になってはしゃいでいたのとは、少し違う。
僕なりに、冷静に、思慮深く、時間をかけて作成したスケジュールであり、計画であり、根底にはきちんとしたロジックがあった。
失敗だったのは、僕が自分自身を理解していなかったことだ。
僕は思ったよりストレスに弱かったし、思ったより体力もなかったし、思ったより身体は正直で、思ったより若くもなかった。
自分自身の能力を把握していないという致命的なミスを犯しながら、無理をおして破綻することなく今日までこれたのは、今年の僕が、なにより「心技体のバランス」を重要視していたからだろう。
心技体をバランスする、というのはつまり、自分自身を常にベストな状態にキープするということだ。
一番大切なのはスケジュールをなにがなんでも貫くことではなく、自分のバランスを保つこと。
それをあらためて確認できただけでも、幸いだったんじゃないだろうか。
だから、夢のように覇気と活力に溢れていた、あの一月という月日は、無駄じゃなかったんだ、って自分に言い聞かせてる。
はしごを少しだけ、かけ間違えていたことに気がつけたから、隣のはしごに飛び移っただけ。下から登りなおすわけじゃない。
だから、気分は思ったより、わるくない。
今は、心がやたらと静かで、まわりの騒音が気にならなくて、本当にやるべきことと、僕ができることが、だんだんはっきりと見えてきている。
もう一度、ここから歩きだそう。ウォーク・ドント・ラン。
僕の一月は、幻なんかじゃなかった。
2014年2月18日午前十一時四十分。陽光の差しこむあたたかい車内で。田園風景を眺めながら。久しぶりにジョン・レノンの『Starging Over』を聴きたくなったな。
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