約1週間、FacebookやTwitterを断って、なるべくiPhoneやMacにも触らない生活を送った。
「デジタル・デトックス」とは、ネットと常に繋がっている状況から抜け出して、オフラインの休暇を取ろうという考え方で、アメリカを中心に話題になっている。
実際に顔を合わせるリアルな生活と、ネットのバーチャルな生活を、バランスよく適度にこなしている人には必要ないだろうけど、僕のように寝ても覚めてもネットに繋がっている「オンライン人間」には、定期的な「デジタル・デトックス」が必要なのかもしれない。
ということで、僕が実際に体験して、気づいたこと・学んだことをまとめてみました。
オンライン人間のあなたが、デジタル・デトックスをやるべき8つの理由
1.ストレスが激減する。
遠くの友人たちと交流を楽しむFacebookやTwitterを止めてみたら、驚いたことに、すごく気が楽になって、ストレスが激減した。
SNSはリラックスするための楽しい趣味だと思っていたのに、いつの間にか、義務的にこなさなければならないルーチンワークになっていたのだ。
これは僕がブログを書いていて、ネットで繋がることも仕事の一つだという認識があるからだろう。
けれどそうでなくとも、オンラインであるとはいえ、いつも誰かとコミュニケーションを取っているというのは、それなりのストレスになることは明白だ。
2.時間の流れ方がゆっくりになる。
SNSに費やしていた時間がぽっかり空いたら、唐突に時間がゆっくり流れるようになった。
僕は普段、朝起きて歯を磨きながらFacebookを眺め、ランニングを終えたら海の写真をシェアして、Twitterで挨拶からやり取りをして、昼休みにはFeedlyでブログを読んだりFacebookを眺めたり、家では夕飯をシェアして、またFacebookやTwitterで交流していた。
一日トータルでどれくらいの時間を費やしていたのかはわからないけど、スキマ時間のほとんどをSNSに使っていた僕なので、その時間が空けば余裕が生まれるのは当然だ。
以前は、ぼーっとする時間なんてまったくなかったのに、ひさしぶりに空を見上げたときはなんだかちょっと感動した。
3.日々のなんでもない出来事が幸せに感じられる。
FacebookとTwitterを止めて空いた時間は、心身をリラックスするために使った。
子どもたちや家族とたくさん話をして、音楽を聴いて、テレビを眺めて、小説を読んだ。
やってみて気がついたのだが、僕はずいぶん長いあいだ、家族と一緒にテレビを眺めるということすらやってこなかったのだ。
長男と「やべっちFC」を観て興奮する。
子どもたちを順番に抱っこしたり、部屋中転げ回りながらくすぐりあう。
家内が作ってくれた美味しいゴハンを、ゆっくりじっくり噛みしめる。
ソファに横になって、目を閉じて音楽を心身に沁みこませる。
お酒を呑みながらゆっくり小説を読む。
そういった至極当然に思える、豊かな日常の営みの時間を、僕はいつの間にか失っていたのだ。
4.音楽や映画、小説が骨の髄まで沁みこんでいく。
僕は毎日、ヒマさえあれば音楽を聴いている。トイレ文庫で小説も読むし、毎週土曜日の晩には家内と映画を観るし、面白そうな作品があれば劇場にも足を運ぶ。
けれどいつも、頭のどこかに、自分が触れた音楽や映画、小説などの表現を「ブログやSNSで発信しなければならない」という強迫観念に近い思いこみが潜んでいて、心から楽しむことができていなかったようなのだ。
聴いている音楽、読んでいる本、観た映画など、なんでもかんでもシェアしようという姿勢があると、どこかで外面的なことを気にしてしまって、その表現そのものに集中できないのかも知れない。
これは僕がええかっこしいの自己顕示欲にまみれた人間だからなのかもしれないけど、SNSを断ってみたら、あらゆる表現が骨の髄まで沁みこんでくるようになった。
他者の評価なんてどうだっていい。僕がどう感じるか、どう思うか、が大事なんだということを、あらためて噛みしめた。
5.シェアして終わりではなく、目的を達成できる。
「やります!と宣言すると、やってないのにやった気になってしまう」と誰かが言っていた。
それに似たところで、SNSで行動の過程をシェアしてしまうと、目的を達成していないのに満足してしまうという心理的作用があるらしい。
FacebookやTwitterで、買った本やチェックしたブログ記事などをシェアしたり、受講しているセミナーや観ようとしている映画、聴いている音楽、食べている料理などを発信すると、そこで満足してしまうことがある。
本やブログやセミナーで学んだことを実生活に活かすことが目的なのに、それを他人に宣言してしまって、無意識に「もういいや」と思ってしまうのだ。
つまりここでも、いつの間にか、気にしなくてもいい他人の目を気にしているということだろう。
6.繋がりを手放すと、孤独感がなくなる。
FacebookやTwitterでコミュニケーションを取っていれば、とりあえず寂しくはない。
Twitterのメンションがバンバン届いて、Facebookで「いいね!」がたくさん付けば、たくさんの人に囲まれているような気分になって、孤独感はないだろう。
けれど、逆にSNSを離れてみて感じたのは、そもそもオンラインに人間関係がなければ、孤独を感じるまでもないということだ。
目の前にいる家族や仕事の同僚、近しい友人。そういったリアルな人間関係だけに限定した方が、僕の場合は充足感や幸福感が強くなった。
独り暮らしだったり、孤独な職場環境や住環境を強いられている人にとっては、SNSでの交流は孤独を癒やしてくれるかもしれないけれど。
7.世の中がよく見えるようになる。
映画館で、映画が始まるまでの待ち時間、いつもならFacebookやTwitterで時間をつぶすんだけど、デトックス期間なので、iPhoneに触れるのは我慢した。
やることがないので、売店や館内にいる人、近日公開予定の映画のポスターやチラシを眺めてみる。
なかなか面白そうな映画があるので、チェックしておこう。シアターへの入口でくじ引きをやっていて、当たりが出れば今度やるディズニー映画が安くなるらしい。沖縄の美ら海水族館の映画らしきものがあるらしい。子どもたちは料金が安いんだ。あのドラえもんの映画はチビたちが喜ぶだろう。やっぱり『永遠の0』は年配のお客さんが多いな。チケットもぎりのおねえさんが深津絵里に似ていて可愛いな。コーラでも飲もうか。
ごく当たり前の映画館の風景だけど、いつもiPhoneを覗いてSNSに淫していた僕にとっては、ひどく懐かしく、新鮮な景色だった。
僕らはネットという限られた世界にフォーカスするあまりに、世の中を見失っているのかも知れない。
8.本当に大切なものを、あらためて噛みしめた。
僕にとって一番大切なのは「僕と家族の幸せ」だ。
そんなことはとっくにわかっていたし、毎日それを最優先していると思っていた。
けれど実際には、子どもたちの会話を遮ってFacebookやTwitterで交流をし、家族との時間を犠牲にしてブログを書いて、好きな映画や小説や楽器も楽しめず、盲目的にネットに淫している僕がいた。
世の中の役に立つブログを書くことは、僕の大切な仕事だと思っている。それが家族の幸せにも繋がると信じている。
けれど、歯を食いしばって努力するのと並行して、日々の一瞬一瞬を、一番大切な家族と楽しむということも、同じくらい大切なのだ。
最大の問題はコミュニケーション過多だった。
1週間のデジタル・デトックスで気がついたことは他にもたくさんあった。
中でも僕にとっての最大の問題だったと気がついたのは、日常における他者とのコミュニケーションが多くなりすぎて、手に負えなくなってしまったということだ。
家内と三人の子どもたち、同じ業務をこなす職場の同僚、僕が指示を出して現場で作業する職場の同僚、取引先の人たち、Facebookで繋がっているリアルな友人知人、Twitterで繋がっているブログ関連の友人知人やブログを読んでくれる人たち、と、ほとんどすべての時間を、誰かとのコミュニケーションに費やしているうちに、心身が疲弊してしまっていたのだ。
デジタル・デトックスの最大の効能は、インターネットから離れることで、自分の人生を客観的に見つめ直すことができる、ということなのかもしれない。
デジタル・デトックス中に僕がつけたメモ
参考までに、僕のデトックス期間中のメモを紹介します。
- やべっち観て爆笑した
- ジブリゆっくり観た
- 子どもたちとたくさん話をした
- 本をたくさん読んだ
- ぼーっとした
- 眠い
- SNSで読書やセミナーなど努力の過程をシェアしてしまうと、それで満足してしまう部分があるかも。学んだりがんばったりして得たことを、実現させて結果に出していないのに、そこで終わってしまう。
- すべてをさらけ出すことの弊害
- 誰かの反応を気にしないという気楽さ
- SNSを通じて、自分に興味を持ってくれている人がたくさんいる、というのもまた事実
- 音楽やゴハン、映画、会話など、人生の表現や瞬間が色濃くなった
- 酔っぱらってシナトラ聞いてるだけですげー幸せ
- 毎日じゃなくて、たまにやるからいいのかもデジタルデトックス
- you are not alone – Michael Jackson
- 映画館の待ち時間が手持ち無沙汰
- ふだん必要最小限の情報だけを目に入れている
[ 日刊CL*56 ] 本日より1週間、FacebookとTwitterをお休みします!デジタル・デトックスの実験(バランス8)2014/02/10 | CLOCK LIFE*
Facebook中毒の僕が、オフライン休暇を取ろうと思ったこと。 | CLOCK LIFE*