我が家の子どもたちは、ヒマさえあれば「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」という映画ばかり見ている。
怖くないのかと訊くと、ぜんぜんと首を振って画面から目を離さない。
映像や音楽は不気味だが、この映画を観るとディズニーランドに行っているような気分になれるらしい。
ハロウィン・タウンのキング、ジャック・スケリントンは、初めて見るクリスマス・タウンの美しさに心を奪われ、サンタクロースを誘拐してしまう。
自分のすぐそばにある大切なものを見失って、他人のものをうらやんでしまう哀しい男の物語だ。
たしかにきらびやかなホワイトクリスマスに比べて、ハロウィンは暗くて不気味だが、それでもこのお祭には妙な明るさがある。
初めてこの映画を観た頃から、僕もずいぶんおっさんになってしまったが、この映画のハロウィンソングを聴くと、今でも心がゆらりと動き、にやりとしてしまう。窮屈な現実を小馬鹿にしたような気分になる。
歳をとると、ディズニーランドへ行かなくても現実を忘れられるのだ。
日本語のほうがコミカルで楽しい。