秋に向かって空気がクリアに澄んでいくように、最近なんだか、いろんなものがよく見えるようになった。聞こえるようになった。感じられるようになった。
心=身体の声が、よく聞こえる。
僕らは心とからだを別々に考えてしまいがちだけど、心の声は身体を通して聞こえてきます。
身体の部位に耳を澄ますと、伝わってくるんです。
朝から重い頭が、ちょっと張りのあるふくらはぎが、違和感のある右肩が、手首の鈍痛が、いろんなことを直接的な言葉で教えてくれます。
「疲れてるよ」とか「無理するなよ」といった単純なものではなく、もっとずっと奥にあるメッセージが聞こえてくるのです。
先日風邪をひいたときは、炎症を起こしてヒューヒューと音を立てて僕を苦しめる気管支の声に耳を澄ましたら、こんなことを言っていました。
「今のおまえには、無駄なものが多いんだよ」
僕はしばらく気管支と対話し、なるほど!と得心しました。
病院へ行き、抗生剤と気管支の薬をもらい、アレルギーテストをして、部屋を掃除して、家中を見渡すと、部屋にも心の中にも、無駄なものが溢れているのがよく見えました。
本当に大切なものと、そうでないもの。
必要なものとそうでないものが、おもしろいほどはっきりと見えたんです。
僕は今まで、どれだけ身体の声を無視して生きてきたのだろうと、鳥肌が立ちました。
身体はまず、不安や恐怖といったストレスで、僕らにサインをくれます。
朝から気持ちが上がらない。わけもなく憂鬱だ。イライラする。会社(学校)へ行きたくない。
でもそこは気合いを入れて、がんばって抑えこんで家を出ますよね。
すると今度は、身体的な痛みで、僕らにサインをくれます。
頭が重い。胃が痛い。肩が張っている。腰が痛い。風邪っぽい。全身がだるい。
それでもあなたは、それを無視してがんばりますよね。
すこしの風邪くらいで休んでいるわけにはいかない、と言って、気合いで仕事に励みます。
そうやって生きているうちに、心=身体の声は、どんどん聞こえなくなってきます。
そして人によっては、自分がどうなっているのかもわからずに、力を振りしぼってあがき続けて、文字通り、心も身体も「ぶっ壊れて」しまうんです。
それが、僕や家内だったりします。
ぶっ壊れた先に、僕らは大きな光を見つけることができたけど、そのまま深い闇に落ちてしまう人もいます。
僕らは二度とあんな目にあいたくないから、今日も耳を澄ますんです。
身体の声は、そのときの自分のことだけじゃなくて、未来のこと、大切なことも教えてくれる、大切な道しるべなんです。
興味がある方は、『気づきのセラピー―はじめてのゲシュタルト療法』というを読んでみると参考になるかもしれません。
速読とかダメですよ(笑)。僕はゆっくりじっくり噛みしめるように読んで、実際にやってみたら、いろんな声が聞こえるようになりましたから。
今日はとっても気持ちのいい秋晴れです。