コラム/エッセイ

さらけだす「勇気」と、他人に届ける「計算」

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NHKのプロフェッショナルで、作家エージェント・コルクの佐渡島庸平さんがクリエイター志望の若者たちにアドバイスをしていて、いろいろ勉強になりました。

ちなみに以下はぼくがテレビを見ながら考えたことで、佐渡島さんの言葉ではないですあしからず。

「自分をさらけ出せ」

漫画家や小説家になろうとすると、早く認められたくてつい紋切り型のありがちな秀作を目指して書いてしまうものだけど、そんな、誰かと同じ「よくあるもの」なんてつまんないし、誰も読みたくない。

自分の中にある苦しい気持ち、嫌らしい考え、恥ずかしい体験、そういう、ふつうに暮らしていたら絶対に人に見せたくないものをさらけ出さなくちゃ、作品に魂は宿らない。恥ずかしがってないで全部出せよ、ってことですね。

『君の名は。』の新海誠監督は、抽んでたオタク性と変態的なセンチメンタリズムを恥じらいもせずに出しきっているから、彼独自の新海ワールドがあるわけです。

「自分の心の整理をしたいのなら、日記でも書けばいいよね」

とはいうものの、自分の苦しい体験をただ書いたところで、人の苦労話なんておもしろくもなんともない。他人の痛みは想像できても、読む方は痛くもかゆくもない。どうしたらそれを描いて他人の心を動かせるか、どうしたらそれをおもしろい作品にできるか、ひたすらそれを考えることが、クリエイターの第一歩であるし、プロはいつもそこばっかり考えていると。

『君の名は。』がここまでヒットしたのは、新海監督の突出したセンチメンタリズムや世界観を、希代のヒットメーカーであるプロデューサー・川村元気さんが、広くたくさんの人を楽しませるおもしろい作品に「大衆化」したからです。

自分をさらけ出す「勇気」と、他人の心を揺さぶるための「計算」、計算というと聞こえが悪いけど、その両方がなければ人に届く「作品」にはならないのだという、クリエイターのスタート地点を思い出させてもらった気がします。

ぼくもそうだったけど、ある程度書けてしまう人は、自分の世界にうっとりして「計算」を怠るんですよね。それだと単なる「うまくできる素人」で止まってしまう。プロになりたかったら、その先へ行かないと。

話はちょっと変わるけど、最近はインターネットの発達による営業・宣伝の自由化で、創作にせよビジネスにせよ、「コンテンツ(内容)」よりも「売り方(見せ方)」のほうが重要視されている向きがあるでしょう。

ブログやSNSやネットショップをうまく使って、個人が持っているコンテンツをどんどん売りましょう、っていうのは時代の流れだけれど、そうやってみんなが「売る」ことにフォーカスしている時代だからこそ、もっともっと自分の「創る」ものを磨いていったらいいんじゃないかな。

自分は「創る」ところをひたすらがんばって、「売る」のはそっちのプロにお願いしたいなあ。それこそ佐渡島さんとか川村さんとか笑。

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