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自分がフランス車に乗る日が来るとは思ってもいなかった。人生って、思ってもみなかったことの連続なのだけれど。

八年乗ったステップワゴンは優秀な車だった。ステップワゴンに限らないけど、国産のミニバンほど優れた自動車は世界的にも見当たらないのではないか。5ナンバーのコンパクトなボディに8人も乗れて、燃費も価格も機能も抜群の過不足ない優等生。

でも優等生っておもしろくない。優等生が好きなのは教師とPTAと家族を大事にするお父さんだけだ。僕だって家族は大事だけど、やんちゃな子だっていいじゃないか。

初めて手に入れた自動車は、茅ヶ崎に移住したときに中古で買った1995年式の三菱ブラボーという軽バンだった。丸みを帯びたずんぐりとした流線型。ネイビーとシルバーのツートンカラー。商業車なのにそうは見えないポップ&チープな外観が愛らしい、おもちゃみたいな車だった。

ハイルーフで天井が高く、インテリアは薄っぺらの鉄板がむきだしのままなので、荷物もたくさん積めたし、若い夫婦と幼い子どもたちにはぴったりのボロ車だった。僕も家人もこの車が大好きで、また乗りたいねーとよく話す。今でもたまに走っているところを見かけると思わず夫婦で「ブラボー!」とイタリア人みたいに声をあげてしまう。

高速道路で660ccの非力なエンジンをぶん回すと、車内での会話は大声になったし、中央道では登坂車線に逃げこむことが多かったけれど、アクセルペダルを踏みこむことで、揮発燃料が小さなシリンダー内で爆発してこの乗り物を動かしているのだという感触が、ステアリングを握る掌やシートに食いこむ尻から直に感じられて、子どもみたいにワクワクできる車だった。

家人の「いつかまたブラボーに乗りたい」という声があったからというわけじゃないんだけど、次はルノーのカングーという車を買うことに決めた。キャンプやサーフトリップのためにハイエースをカスタムしようかとか、アウトドアに強い国産ミニバンにしようかとか、若い頃から乗りたかったジープ・ラングラーにしようかとか、あれこれ迷ったんだけど、僕はどうやら〈働く車〉が好きみたいだ。

カングーはヨーロッパの商業車シェアナンバーワンを誇るゴリゴリの〈働く車〉で、郵便局員やパン屋さん、花屋さんなど、あらゆる配達に使われているそうだ。日本で言えばやっぱりハイエースか軽バンか。

国産ミニバンに比べると、価格も機能も乗員数も壊れにくさも、スペック的にはだいたい負けるけど、荷室の積載量と角ばった愛らしいおしりだけは負けてない。パリの石畳じゃないけど、茅ヶ崎の狭い路地をぐいぐい走るのには、ちょうどいい車なんじゃないかな。とりあえず来月のカングー・ジャンボリーへ遊びにいってこようかな。

※ ちなみにカングーという名称はカンガルーとはまったく関係ないそう。

 

 

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