「君らもファン・デル・サールやスナイデルになれるんやで」 ___本田圭佑 (オランダ時代に本田圭佑が現地で日本人小学生相手におこなったサッカースクールでの言葉)
サッカー日本代表のエース本田圭佑選手の数ある語録の中で、彼の人間性を最も如実に表しているのがこの言葉だと思う。
信念の男
本田圭佑を一言で表せば、「信念の男」である。
「俺ならできる」「信じることが希望」を信念に、小さな頃から「世界一のサッカー選手=レアル・マドリードの10番」になることを目標にやってきた。もちろん彼はまだ旅の途中で、本気でレアルに入るつもりだろうし、本気でワールドカップで優勝するつもりだろう。
「挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる」
彼の半生は挫折の連続だった。
小学校では誰よりも足が遅かったし、ユースチームにも入れなかった。名古屋グランパスでもオランダでも、最初から活躍できたわけではなかった。それでも本田は、その度に冷静に自分を見つめ直し、足りないところをハードワークで補い、それでも抽んでることができなければ新しい武器(フリーキック)を磨いた。
倒れたら、砂をつかんで立ちあがる。諦めることは決してない。
根性だけじゃない。考えて考えて、夢のためにひたすら前進あるのみ。
こういう選手こそが、子供たちにとっての本当のスーパースターなんじゃないかと思う。
ここ数年、膝のケガでしばらく試合に出られなかったとき、本田は「チャンスやなと思ってる。この間にもっともっとパワーアップする」と言っていた。さすがにこれは強がりだろう、せいぜい筋トレをして体幹を鍛えるくらいだろう、と思っていたが、ワールドカップ最終予選で久しぶりに代表に復帰した彼のパフォーマンスは、以前よりも数段レベルアップしていた。
同じく日本代表の不動の左サイドバック、長友佑都も本田に似ている。今でこそ名門インテルで活躍している長友も、数年前までは明治大学のベンチを温めていたのだ。
二人に共通している最大の長所であり武器なのは、なによりも「自分は、できる」と信じている点だ。
世界を相手にしても、僕らは戦える。ビビることはない。日本人だからって負けてたまるか。
「本田にだってなれるんだぞ」と僕は息子に言った。
プロサッカー選手になりたい、という夢を持つ中1の長男に、僕は言った。
「おまえが本気でやれば、本田にだってなれるんだぞ。最終目標から逆算して、いつまでにどうなりたいかを真剣に考えて、今できることを必死でやり続ければ、おまえだって世界に出られる。どうする?やるか?」
彼は瞳を輝かせて頷いた。それからは僕に言われたとおりサッカーノートを毎日書き、年齢で区切った目標を立て、それを元に「今できること」を導き出して、朝は僕の次に起きて一人で自主練習に出かけ、夕方遅くまで部活で練習している。スポーツ選手たるもの英語は基本だからという僕の言葉に従って、スピードラーニングで勉強する時間も設けた。
サッカーの本で技術を学んで庭でリフティングの練習をしてサッカー漫画を読んでウイニングイレブンをやってサッカー番組を観てサッカー選手の話ばかりしている彼は、本当に幸せそうだ。
現実のところ、誰もが本田やスナイデルのようになれるわけではない。だけど「なれる」と信じてその星を追いかける者とそうでない者の差はとてつもないだろう。
かくいう僕も、恥ずかしながらiMacの横にこんな写真を貼っているのだけれど、僕もスティーブ・ジョブズになれるんだろうか。