さる午後。表参道で用事を済ませ、午後三時半。次の約束までは二時間ある。

買い物の用はなく、散歩するには疲れているし、カフェはどこも混んでいる。それではひとっ風呂浴びるのも一興かと、青山通りをひとつ曲がったところにある銭湯へ。

公共の場におけるコロナウイルスが少し気になったけど、もう感染を恐れるフェーズは終わったのだと思い至り、心身を温めほぐして免疫力を上げようと暖簾をくぐる。

田舎の広大なスーパー銭湯や温泉施設によく出かける僕にしたら、都心の銭湯はそりゃ狭いけど、こんなところでふと思いついて湯を浴びられるのだから文句はない。

いつ行ってもここはけっこう混んでいて、地元っぽいじいさんとか、マッチョな学生とか、様々な国籍の外国人とか、やたらスタイリッシュなおにいさんとか、超ミニスカートに派手なストッキングの雑誌に出てくるモデルみたいなおねえさんとか、老若男女入り乱れ。

サウナに炭酸泉にジェットバス、どれもこじんまりとしてるけどいちおう揃ってて、みんなさっと入ってぱっと出て行く感じ。

そんなこざっぱりと潔い入浴の所作が気持ちよくて、江戸の庶民が日常にしていた風呂屋はこんな感じだったのかなあ、などと考えながら、無精ひげを湯に浸す。

一時間弱で上がって外に出ると、夕暮れの通りを吹く春一番。そのまま青山通りに出、道行く人々はまさか僕がこんな都会の街で数分前まで裸で炭酸泉につかってああとかううとか唸っていたとは誰も思うまい、などとよくわからん想像をしながら通りをゆく。

そりゃあ夕方からの生ビールは絶品でした。骨身に沁みて茅ヶ崎に帰るのが億劫になるほどに。

都内の銭湯をもっと探索したくなる春でした。

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