娘がタコの唐揚げにハマったとうるさいので、いきつけの居酒屋で注文した。
なるほどたしかにうまい。うまいんだよ。忘れてたなあ。
鶏、タコ、フグ──唐揚げってのは人類のすばらしい発明だ。あ、ゴボウも美味しいんだよな。
そんなことを思いながら、タコの唐揚げをかじって、黒霧島のソーダ割を舐めていたら、ふいに、毎日書いているノートのことを思いだした。
数年前、唐突に強制的な独り暮らしが始まってから、気づいたら毎日ノートに言葉を書き連ねていた。
それは自己対話であり、明日を生きぬく道しるべであり、アファメーションであり、気づきであり、学びであり、心や精神の成長の記録となった。
いまそれらを俯瞰してみると、おお！と驚くのが、だいたい、現実が、そこに書いたようになってる──ということ。
これはこういうことなのだな、と解釈し、これからはこのように生きよう、と決意したことは、時間差、タイムラグを経て、だいたい、現実にそうなっている。
意識が現実を創造する──と耳にするけど、まさに目の前で、自分の身にそれが起こると、震えるような感慨がある。
つまり現実とは、僕の解釈と判断と決意した方向性で、ほんとうに変容していくのだ。それを、意識が現実を創造する、と言っているのだ、と。
デスノートという漫画がだいぶ流行ったし、古くはウイングマンのドリムノートというのもあった。
そのノートに書いたことは現実化する──それは夢みたいな話だけど、ウォルト・ディズニーが言ったように、夢見ることができれば、それは実現するのだと。──If you can dream it, you can do it.
でもいまは、なんとなく、そりゃそうだよな、という気もするんだ。
だって、そこに書かれた言葉は、僕が気づいたこと、こうしようと決めたこと、こうなったらいいなと意識したり願ったこと、こうなったらイヤだなと恐れたこと──つまり、僕の心の中を言葉として可視化しただけなんだもの。
そして、心が向いた方向へ、僕らは知らぬ間に進んでいるのだもの。
だからそれは、小さな変容からはじまる。いきなりは変わらない。少しずつ、蝶の羽ばたきが地球の裏で嵐を巻き起こすように、小さな変容が、時間をかけて、現実を創造していく。
だからきっと、誰の身にも起きているのだけれど、気づかないだけなんじゃないかな。
僕は独りで観察する時間と必要性があったから気づくことができたけど、現実や世界は僕らの意識が創っている、ということは、みんなに起こってることで、自然なことで、特別なんかじゃないんじゃないかなって、いまは感じてる。
書くから意識が変わって現実になるのか、意識が変わったからそこに書いたのか、いずれにせよ、言葉にする──言霊には大きな力があるのだと、この数年で痛感している。
でも、夢や願いをノートに書けばそれが現実化するよ──という話をしてるわけでもない。ちょっと違う。夢や願いをノートに書けば、夢や願いに一歩近づくのはたしかだけど。
僕がノートに書いていたのは、夢や願いではなく、僕の心のなかにあった気持ちや反応や思考だ。それを書き出して、可視化することで、自分自身が見えてくる。大事なのはそこなんだ──。
僕らは無意識に、自分をすら騙している。知らぬ間に、自分にすら噓をついている。だから、自分のなかのいろんな自分が葛藤、対立して、僕たちは苦しむ。
けれど、だんだん自分自身が見えてくると、自分の考えていることや願いや進みたい方向、本心、が見えてくる。
自分は本当はどうしたいのか、何をしたいのか──夢や願いが叶うノートではなく、自分の本当の夢や願い、あるいは恐れや不安が見えるノートなんだ。
そうやっていろんなことが見えてくると、自然と、進む道と理が見えてくる。それを僕はタオ（道）と呼ぶ。
お金持ちになりたい。素敵なパートナーがほしい。心安らかに暮らしたい。夢を叶えたい。
そういった願いをノートに書いて、後から見直したら、はじめのうちはきっとザワザワするだろう、きっとモヤモヤするだろう。
そりゃそうだよ。自分に嘘をつかずに、すべてをクリアにフラットに観察するのだもの。
でも、そこがスタートなんだ。いろんなことがクリアに見えていくための、ようやくスタート地点に立つのだ。
この話はとても大事で、長くなるので、続きは次の機会にするね。
ちなみにノートって言うけど、僕は親指シフトとフリック入力で喋るように書けて手書きより早いし見返すのもラクちんなので、アプリを使ってるよ。
DAY ONEっていう日記アプリと、WorkFlowyっていうツリーのやつ。もう何年もずっとこれ。MacでもiPhoneでも使えるから場所を選ばないし。僕の頭のなかはだいたいここにコピペされてる。
そういう意味じゃ、このブログだって、こうして言葉にして言霊を飛ばしたら、自分にもみんなにもまわるから、きっと僕はこれからしばらく、タコやフグやゴボウの唐揚げを意識して食べるんだろう。
意識ってそんなもんさ──そうやって、現実は変容していく。
