Soccer_field_SAIT
Soccer_field_SAIT / JMacPherson
自慢じゃないが、僕には根性がない。

生まれたときからそうだったのか、成長するにつれていつの間にかそうなったのかはわからないけど、とにかく根性がなくても生きてこれる道を選んで今日まで歩いてきた。

 

学生時代にスポーツに熱中したこともない。甲子園や国立はテレビで見るものだった。中高のバスケ部は楽しかったけど、嫌いな先輩がいたのでやめちゃった。「これからはストリートバスケだぜ」なんつって、中庭のバスケットゴールで毎日ダラダラ 3 on 3 ばっかりやってた。

必死に勉強したわけでもない。高校ではネイティブの先生がすべての授業を英語で行うインターナショナルなクラスにいて、イギリスに留学とかさせてもらったから、それなりの英語力が身について、それなりの大学に滑りこんだ。

留年までしたくせに大学を中退した後は「俺は小説家になるぜ」なんつって、毎日バイトしてギター弾いて仲間と酒呑んで、アルコールにぼやけた頭で身辺雑記ばっかり書きなぐって、狭い世界の中で、人生を学んでいると信じていた。

若い頃はいろんな職を転々としながら、いつも頭の中では「俺は小説家になるぜ」なんつってるもんだから、目の前の仕事に積極的に集中するわけでもなく、結果が出るわけでもなく、達成感もなく、ただただ日銭のために作業をこなす、といった無為の時間を過ごしていた。

そんなどこにでもいるどうしようもないバカだって、当たり前だけど歳を重ねていく。

結婚をして、子どもができたりして、いい歳してようやく人生について真剣に考えるようになったんだけど、それでも僕には真剣ていうのがイマイチよくわかっていなかったんだよな。だって真剣に生きたことがないんだから。

そもそも僕的には、それまでだって真剣に人生を考えて、真剣に生きているつもりだったんだ。実際にはちんたらのほほんと生きていたんだけど、自分では必死なつもりで、どっか心苦しくて、ちっとも前に進んでいなかった。

部活にたとえるなら、毎日猛練習に耐えて真剣にサッカーに取り組んでいると思っていたのに、国見高校の練習を見たらケタ違いにハードな練習をやっていて「あ、これが!」みたいな。

三十代も後半にさしかかって、人生や自分のことが少しずつ見えはじめてきた頃、家内が病に倒れてお先真っ暗になって、やっとバカな僕にも、自分が真剣に生きていなかったらしい、ということが薄々わかってきた。

だから本をたくさん読んだり、勉強会やセミナーに参加したり、朝四時に起きて仕事前にごにょごにょやったり、毎日走ったり身体を鍛えたり、効率的なライフハックを学んだり、ブログを書いたりしはじめたんだけど、それでもまだまだ僕には真剣みが足りなかったんだって最近気がついた。

将来をしっかり見据えるようになって、日々のすごし方は劇的に変化したけど、それはただ僕がサッカー部に入って毎日ちゃんと練習をしているという状態なだけ。

これまで庭でリフティングしていただけみたいな僕が、サッカー部でちゃんと練習するようになったんだから、それなりの結果は出て、うまくなっているという実感や達成感はあるんだけど、毎日の練習がそれなりだから結果もそれなり。

全国を目指すためには、国見高校なみにハードな練習をしなくちゃ、と思ったわけではないんだけど、気がついたらもっともっと上を目指すために、今までよりハードな毎日を自分に課して、しかも無理せずそれを実行し、継続して、破綻せずにいられるようになってきた、最近。

具体的には、会社から帰って夕飯を食べた後、すっげー疲れていても、瞼がくっつきそうなくらい眠くても、やるぞ!って気合い入れると、けっこういろいろできちゃうもんなんだって、おっさんになってやっと気がついたんだ。

それはつまり、自分にハッパをかけて根性見せてる状態だと思うんだけど、若いうちにそういう体験をしっかりしてこなかったから、まさに今頃になって国見サッカー部の練習に参加して、ゲロ吐いているような状態。

ハードすぎてゲロは出るしメッチャ疲れるんだけど、やっているうちにだんだん慣れてくるし、夜はしっかり眠れるし、気持ちはいつも前向きになるし、根性見せるってけっこう気持ちいい。わるくない。誰かもっと早く教えてくれればよかったのに。

朝四時から夕方までガンガン飛ばしてやっと帰宅して、子どもたちを風呂に入れてると、たまに頭がくらっとなっちゃうことがある。以前の僕だったらそこで、疲れが溜まってるから今日はゆっくり休もう、とか思って早く寝ちゃってたんだよね。だってネットに溢れるライフハッカーたちは、すぐに「無理すんな」って言ってくれるから。

睡眠不足や過労は作業効率を下げるから云々、それは決して間違っていないんだろうけど、少なくとも僕の場合、そんな悠長なこと言ってたらちっとも前に進めないし、限界はいつまでたっても超えられない。

疲れすぎていたらいい仕事はできないかもしれないけど、そんなときでもぐっとこらえてがんばれば、次は少しだけ限界を超えることができるはず。そうやって自分の限界の天井を少しずつ上げていくってのが、コツコツやるってことなんじゃないかと。

そんなハードな一週間の疲れが溜まった土曜日の昼間に、家の大掃除や子どもたちの世話をした。身体が重くて眠くて疲れていたけど、ちょいちょい休憩を挟んで、なるべく笑うようにして、楽しみながら夜までがんばってみた。

ぶっ倒れそうな時間帯もあったけど、夜には意外と元気で、お酒を呑んで映画を観て充実した時間を過ごすことができた。

僕だってけっこういけんじゃん、と思った。「自己信頼感=自信」てやつは、こういうことの繰り返しで身につくものなのかもしれない。

と同時に、うちのよくできた家内は、きっと僕と結婚した十年前からずっと、毎日こうやって歯を食いしばって、つらいときにも自分にハッパをかけて、根性見せて生きてきたんだってことが、やっと理解できた。

だから家内に、あらためて、ありがとうって言ってみた。

彼女は笑うだけだったけど、ずっと長いあいだ彼女のがんばりを理解してこなかった自分の不甲斐なさと、それにやっと気がつけたことに、僕の瞳からは涙がぽろぽろこぼれるのだった。

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