コラム/エッセイ

僕の街においしい中華屋さんがなくても。

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野菜炒めが好きです。

豚肉とキャベツといろんな野菜を塩胡椒でさっと炒めたやつ。オイスターソースとか余計なものはいらない。にんにくの芳ばしい香りをまとっていれば最高だ。

家で作ってもいいけど、やっぱりこういう料理はお店で食べたいよね。古き良き街の中華屋さんで、餃子と瓶ビールと野菜炒め、っていうのは、僕の小さいけれど確かな幸せ。

でも今僕が住んでいる町には、そういう昔ながらの中華屋さんがあんまりないんだ。いくつかあるけど、ぶっちゃけあんまりおいしくない。

駅前には毎日ランチタイムに行列ができる古くてちょっと汚い中華屋さんがあるけど、いつも混んでるし、ちょっと違うんだよな。

理想的なのは、びっくりするほどではないんだけど、餃子も野菜炒めもラーメンもそれなりにおいしくて、それなりに人気があって、それなりに長いあいだやってる、それなりの中華屋さん。こういうところを最近見かけなくなった。

僕が七年間住んでいた「学芸大学」駅には、そういう中華屋さんがあった。

ブログに書いたりわざわざ人を連れていこうとは思わないんだけど、いつ行ってもちゃんとおいしい。何を食べてもそれなりにおいしい。僕だけの隠れ家みたいな場所。

やる気があるのかないのかよくわからないご主人は、暗くなってくると一升瓶をカウンターに置いてコップ酒をあおっちゃうようなオヤジだったけど、お店はいつも綺麗で、お客さんもそれなりに入ってた。

でもああいうお店って田舎にはないんだよね、残念ながら。

人がたくさん住んでる都会か、大学とかがあって学生がたくさん住んでるようなところじゃないと、古き良き中華屋さんって存在しえない。

いやもちろん田舎にだって昔ながらの中華屋さんはあるけどさ、残念ながらそこまでおいしくないんだよ。小さな町では競争も少ないし、土地代払ってるわけじゃないからそんなにお客さん入らなくてもやっていけるし。都会とは心意気が違う。

オヤジは毎晩コップ酒をあおっても、ランチメニューは日替わりで用意してたし、それぞれの料理に気持ちがこもってた。あの頃の僕には、オヤジのやる気があんまり伝わってこなかったけど、あの店は僕が思っていたよりずっと一生懸命に育まれて、愛情がたくさんつまった料理を出していたのだ。

肉野菜炒め
肉野菜炒め / ivva

今僕が住んでいる街にはおいしい中華屋さんがないけれど、いつだって海の香りがするし、空は広くて、人々があったかい。

しょうがないから僕は、駅前のチェーンの中華屋さんへ行って野菜炒めを食べる。今はチェーン店だって馬鹿にできないから、その辺の町の中華屋さんよりもおいしかったりする。

だけどね、やっぱり違うんだよな。

あの頃は漫画雑誌かなんかを読みながら食べてた、どこにでもある野菜炒めなのに、今は思い出して身もだえしている。

きっと思い出の調味料がかかってるから、本当は日高屋の方がおいしいのかもしれないけど、もっかいあの野菜炒めが食べたい。そんな夢を見てる。

馬鹿知らねえのかよ、近くにすげーうまい中華屋さんがあるぜ、という人は教えてくださいね。

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