一眼レフがほしいなあ、とぼんやり考えてたら、気づいたんです。僕一眼レフ持ってんじゃん、て。
7、8年前に買った「Canon EOS Kiss Digital N」ってやつ。パパデジイチの代表格みたいなエントリーモデルだけど、されど一眼、コンデジやスマホよりは断然いい画が撮れる。
でも数年前にCanonの呪いの数字「ERROR 99」が出るようになって、修理するならそのうち新しいの買おうと思ってほっといたんです。
でも気まぐれに触ってみたら、けっこう使える。メインのズームレンズだとたまに99が出るけど、単焦点レンズなら問題ない。そういえばこのCanonの激安単焦点レンズも、買ったはいいけど使いこなせなくてホコリをかぶってた。
単焦点は自分が動いて被写体との距離をしっかり取って、ちゃんと使えばボケまくってすごく楽しい。
動きの多い子どもたちのスナップには向いてないかもだけど、モノを撮るには最適。ってことで、これを機に退役していた一眼レフと単焦点を使うことにした。
で、最近書斎の大改造にともなって書棚の本を整理してみたら、忘れていた、あるいは未読の本がジャンジャン出てくるジャン!
しかも当たり前だけど自分で選んだ本ばかりだから、どれも魅力的で、例によって作業がとん挫してそのまま床に座りこんで読みふけっちゃうわけだけど。
そして週末に長男とPS3でサッカーゲームをやってみたら、死ぬほど楽しいわけ。ゲームなんて時間の無駄とか思ってたけど、家族でこんな熱くなれるんだって。うちの子、はしゃぐとこんな笑顔になるんだ、とか気づいたり。
この前は気が早いから衣替えしてたら、買ってから三回くらいしか着てないオックスフォードシャツが出てきた。僕もそろそろ襟のある服を着なくちゃだよなあなんて思って、どこ行くわけじゃないのに部屋でめずらしくシャツを着てたら、なんか気持ちもシャキッとする。
「僕は何でも持ってるじゃん。ありがとう」
数年ぶりに引っぱりだしてきたお気に入りの小説をパラパラめくってたら、ページのはじに乱雑な文字で「僕は何でも持ってるじゃん。ありがとう」ってメモ書きを見つけた。
ホントその通りだな、って思わず笑っちゃった。当時の自分がどんな気持ちで何を意図してそのメモを書いたのか知らないけど、たしかに僕は何でも持ってるんじゃん。カメラも本も素敵なシャツもゲームも、家族の笑顔も。持ってるモノをちゃんと見てないだけなんじゃん。
なんか楽しくなってきたので、単焦点レンズを構えて、家の中をぐるぐる歩きまわってみた。単焦点て焦点距離が長くてアップになるから、ひとつひとつのモノにフォーカスするのにいいんだよね。
そしたら日常で見逃していた素敵なモノがたくさん見えてくる。ギター、ピアノ、アコーディオン、スニーカー、Tシャツ、画集、絵本、マグカップ、ライター、iBook、ブラブラブラ……。
すげー!僕は本当に何でも持ってるじゃん!身体だって健康だって家族だって友人だって!
ということで、断捨離ばかりが脳じゃないと思うんです。モノも人も、自分自身だって、愛し方さえわかっていれば。
とりあえず今日は、昨日書棚で見つけた五木寛之の「青い鳥のゆくえ」でも読んでみようかな。
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