「隠居系男子」を読んでいたら、『デフラグ』という言葉が出てきた。
コンピュータ用語で、空き領域の断片化を解消すること、らしい。
食い散らかしてところどころ空っぽになったクッキーの箱をトントンと叩いて、クッキーをはじっこに集めるみたいなこと。箱が整理されれば、もっとたくさんのモノを入れられる。
脳の最も効果的なデフラグは、睡眠と瞑想だろう。ランニングをしたり家事をしたり、ゴチャゴチャ考えずに単純作業をするのもいい。
作家の筒井康隆さんは、締めきり前にホテルにカンヅメになると、しばしばホテルの浴槽を洗っていたというけど、それもデフラグの一種だろう。
高城剛さんは、スケジュールに「空を見あげる時間」を入れていたという。それはいいデフラグだと思う。
僕の最も効果的なデフラグは、オートバイで走ることと、クラシックギターを弾くこと、それから、ビーチに寝そべって体の半分まで海に浸ってゆらゆらすること。
でも最近はそのどれにも、あまり時間が取れていない。それがつづくと、心が雨漏りしてくる。
今日がおわるまでにはまだ時間がある。頭の中のクッキーの箱を、トントンと叩いてみよう。