先日、夫婦で散歩がてら銀行へ行ったときのこと。
家内がATMでお金をおろしてから、郵便局でお友だちにお土産を送ろうとしてたの。鴨川シーワールドで買った「アシカの鼻くそ」とかいう変なお菓子。
オレは郵便局内のイスに座ってiPhoneいじりながら待ってたんだけど、ママちゃんがいきなり振り返って
「竜ちゃん!銀行にお財布忘れちゃった!」
って叫ぶんです。
オレもビックリして「マジで!?あそこ!?さっきの!?」とか言いながら郵便局を飛び出したよね。
昔の刑事モノドラマなみに身体を斜めにしながら全力疾走して、交番前の通りも信号無視して突っ切って、ガードレール飛び越えてさっきの銀行に飛びこんだよね。
オレが入る前に自動ドアが開いて、おじさんが銀行から出て行ったんだけど、そのときは気にもとめなかったよ。
ATMのところにはなかったから、カウンターのおねえさんに「財布ありませんでしたか!?」って聞いたんだけどやっぱりない。
もっかいATMのところを見にいったら、さっき出ていったおじさんが帰ってきたの。右手にママちゃんのキャスキッドソンのお洒落すぎる財布を持って。
「ああ!それだ!ありがとうございます!よかったー!」
オレがお礼を言いながら受け取ると、おじさんは何か言おうとしたけどそのまま踵を返してそそくさとその場を去って行ったよね。そんときのおじさんの表情を見てオレ思ったよね。
「あ、この人、財布盗んだんだ」って。
わかんないけど、ふつう銀行のATMで財布見つけたら、銀行の人に渡すよね。おじさんは「交番に持っていくつもりだった」って言うつもりだったのかもしれないけど、忘れた人もまずは銀行に戻ってくるだろうし、おじさんやっぱり盗んじゃったと考えるほうがふつうじゃない。
でもなんかもう、財布が戻ってきただけで嬉しくてね、むしろ戻ってきてくれたおじさんに感謝が沸いてきたよね。
全力疾走して銀行に飛びこんできたオレを哀れに思ったのか、ヤベーと思ったのか、本当に交番に届けようとしていたのかわかんないけど、いずれにせよ、よかったーって。
ママちゃんは最近ちょっとハードスケジュールで疲れてたし、いつも飲んでるお薬がちょっと強くなって注意力散漫になってたの。
後で聞いたら、しばらくは車の運転もしないほうがいいんだって。あんた昨日普通に運転してたじゃないー!
神様はいるなーって思ったよ。
こういうミスがあったから、やっぱり運転はやめようねって思えたし、しばらくはみんなで気をつけようって夫婦で笑えたし、結果バンバンザイじゃないっていう。
やっぱり世界はすべて、自分がどう見るかなんだなーって思ったよ。
僕らの心が閉じていて、俯いてばかりいたら、きっとあのおじさんをとっ捕まえて「おまえ盗んだんだろ!」って問いつめてたかもしれないし、ママちゃんに「何やってんだよ!お金取られたらどうするんだ!」って怒ってたかもしれない。
そこまでしないとしても、「ああ、ママちゃん大丈夫かなあ。オレらはこれからどうなっちゃうんだろう?心配だあ」とか暗く悲観的に悩んでいたかもしれない。
こんなことがなかったら、知らずに車を運転して大事故を起こしていたかもしれない。
やっぱりぜーんぶうまくいってる。
心が開いていれば、事故も起こさないし、夫婦の絆は強くなるし、ドロボーさんは財布を返しに来てくれる。
しかし全力疾走したの本当に久しぶりだなあ。一瞬で息が上がったなあ(笑)。やっぱ今日もジム行こう。