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先日、世界を放浪している女の子の友人とひさしぶりに会った。
彼女と再会すると、いつもちょっとした違和感を感じる。

何十年も世界を放浪するような子だから、もともとちょっと変わってはいるんだけど(僕からの最高の褒め言葉だよ!)、なんかこう、話し方とか表情とか、言葉の選び方なんかが、僕がふだん接している人たちとはやっぱりどこか違う。

彼女は、数年ぶりに会って早々に、北インドに比べて南インドがどれだけ素晴らしいか、について語りはじめた。のんびりと、淡々と、ときに目を輝かせながら。

僕がふだん生きている日常に、こんな話し方をする人はいない。
みんなもっと早く話すし、わかりやすく要点をまとめようとするし、僕の反応を見ながら内容を微調整する人もいる。つまりは、みんな何かに追われるように焦っている。もちろん僕だって。

でもちーぼーは(メンドクサイので名前出しちゃうけど笑)、自分のペースで、のんびりと、ニコニコと、まるで今ここが日本ではないかのようなゆったりとしたペースで話をする。
何にも追われていない。自分のペースで気持ちよく生きる。こういう人のことを「自由」って言うんだろうなって思った。

彼女はいろんな話をしながら、「みんなやさしいねえ」「いい人だねえ」とよく言った。
南インドの人は裏表がないんだよ、ただただやさしいんだよ。
居酒屋のおばさんを見つめては、いい人だねえ。やさしいねえ。
隣で飲んでる酔っぱらいのおっさんを眺めては、楽しそうだねえ。いい人だねえ。

彼女はいつも、そういう「やさしい」ところばっかり見て生きているんだなあと思った。

かたやテレビやネットを眺めてみると、誰が不正をやっただとか、あいつは悪いことしてるだとか、みんながみんな、誰かを責めている。本当は自分が自分を責めているのが苦しくて、それを他人にぶつけてるだけなのに。

ちーぼーは海の家でレモンサワーのジョッキをかたむけながら、眩しそうに西日に目を細めて、「今日はいい日だねえ」としみじみ言った。 僕はこんなに心に響く「今日はいい日だねえ」を聞いたのは初めてだと思った。

海の家を居酒屋代わりにしてたっぷり飲んで語った僕らは、まだ日が暮れぬ夏の夕暮れの浜辺で握手をして、今度はどこかのキャンプ場で待ち合わせしようと約束した。

彼女は「会えてよかったよお」と言った。ちょっと舌足らずに語尾を伸ばして、あいかわらずのんびりとした口調で。

誰かに、会えてよかった。こんなに幸せなこと、こんなに嬉しい言葉ってあるんだろうか。

夏の夕暮れとアルコールで感傷的になっていたのかもしれないけど、僕は心の中でもう一度、「今日はいい日だねえ」と思った。「みんなやさしいねえ」とも。

自由って何だろう?まあ、そんなことはどうでもいいか。あたたかい気持ちと感謝で胸をいっぱいにさせて、僕は家路を急いだ。

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