この写真の食べ物、何かわかります?
まあ、バナナですよね。バナナに何かかかってる。チョコソースと、右側のはなんか赤いのも混ざってて、正直ちょっとまずそう(笑)。
しょんぼりする娘たちと苦笑するパパ
先日子どもたちと出かけた地域の春のお祭り。広い公園で、地元の飲食店がたくさん屋台を並べています。
タイ料理屋はカオマンガイやトムヤムクン、沖縄居酒屋はソーキそば、メキシコ料理屋はタコスと、お店自慢の料理をけっこう安く食べさせてくれます。
チビたちが行く前から楽しみにしていたチョコバナナをあるお店で買ってみたら、上の写真の食べ物が出てきたんです。
でもこれ、僕の知ってるチョコバナナじゃありません。
あえて精緻な描写をしなくとも、だいたいの日本人ならわかってもらえると思いますが、これは断じてチョコバナナではないです。「バナナ剥いてちょろっとチョコかけてみた」やつです。
まあ楽しいお祭りの場なんで、苦笑いしながらも何も言わず受け取ったわけですが、見ると小学生の2人の娘の顔がヒクヒクと引きつってる。ちびまる子ちゃんなら頭からおでこにかけてズーンと暗い線が入った顔です。
「なんか違うけど、おいしそうじゃん(笑)」と、無理やりフォローしますが、朝から「お祭りだーチョコバナナだー!」と喜んでいた娘たちはどうしても浮かない顔。
それでも気を取りなおして食べようとしたんだけど、今度は食べられないんです。
大きなバナナを刺してる竹串が、短くて細くて弱いので、皿から持ちあげようとするとバナナが抜けちゃう。ふつうは割りばしが刺さってますよね。
苦戦してどうにか持ちあげても、チョコソースはお皿にでろーんてなってるから、ホントまさに「チョコがちょろっとだけかかったやたら食べにくいバナナ」でしかないんです。
もちろん本物のチョコバナナと違って、食べながらお祭りを歩き回ったりできないので、公園の隅にしゃがみこんで、手と口のまわりをでろでろに汚しながら、一生懸命食べ終えました。
いいお店なのにもったいない!
さて、たかがチョコバナナのことをなぜこんなネチネチ書いたのかというと、このお店が
すげーもったいないよー!
と思ったからです。
地域のお祭りで地元の飲食店が屋台を出す目的は「より多くの人にお店のことを周知して、とにかくお店に足を運んでもらうこと」です。
「まず来てもらう」⇒「サービスで満足させてリピーターになってもらう」という飲食店の営業の流れの「まず来てもらう」営業を、こういうお祭りでやっているわけです。自社製品の展示会であり見本市なんだから、普段以上に力を注ぐべき場です。
それがしっかりわかっているお店は、コスト度外視で美味しい料理をかなり安く出しているし、お店の名前や場所の看板を大きく出してアピールしてます。
だから僕は知らないお店の屋台で買うときは、店の名前や場所を聞くようにしてるし、昨年のお祭りの屋台で食べた料理が美味しくて、実際に通うようになった地元の店がいくつかあります。
でも、このチョコバナナじゃ逆効果ですよね。
何のために通常定業と違うめんどくさい準備をして、わざわざ遠くまで出店してるかわかんなくなってしまいます。
さらにもったいないのは、店員さんの接客はすごくよかったんですよ。そんなに大きくない屋台なのに、何人もの店員さんが備えてしっかり働いてる。笑顔も自然で、会話もハッキリ、ひさしぶりに気持ちのいいお店だなあと感心したほどです。
だからこの「バナナ剥いてちょろっとチョコかけてみただけ」のやつが出てきても、苦笑しながら受け取ったわけです。
これ態度の悪い店だったら「これチョコバナナじゃないよ」って言ってたと思います。
個人的には、この「似非チョコバナナ」も「テキトーなもん出しときゃいいよ」というネガティブな発想ではなくて「子どもたちにもっと何か食べさせたい」という、店主の小さな心づかいにも思えます。それくらいお店の人たちはいい人に見えましたから。
ネットをちょっと活用するだけで、世界はだいぶ変わる
Hanazono Shrine: Bird Day Fair 2012, Chocolate Banana / Dick Thomas Johnson
ブログやWebメディアだって、キャッチーで大げさな釣りタイトルつけて、いざ読んでみてクソみたいな記事だったら、もうそのお店(ブログ)にいこうとは思いませんよね。
「ウニパスタで集客してガトーショコラを売る」話でも書きましたが、優れたマーケティングや営業の前に、良い製品があるというのは大前提です。
今ググったら、チョコバナナなんて家でも簡単にできるみたいですよ。専用の固まるチョコレートもネットで売ってます。
ネットで何でもわかるこの情報化社会だからこそ、ほんのちょっと調べたり動くだけで、ずいぶん顧客満足度は変わるはずです。
チョコバナナセットをネットで買って、湯煎してバナナつけるだけですからね。お皿もいらないし、むしろこっちの方が楽なんじゃないか。
陰惨なニュースなどを見ると、ネット社会の弊害を感じる場面も多いですが、ネット社会の恩恵やメリットは、使いようによってはデメリットよりもずっとたくさんあるはず。
僕も「おいしいチョコバナナあるよー!」と言って、来てくれた人をガッカリさせないように、これからも真摯に、謙虚に、地道にがんばっていこうと思うのであります。
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