コラム/エッセイ

一日のはじまりに、こころを現実から引きはがす。

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朝はなるべく散歩するようにしている。
一日のはじまりには、こころが現実に貼りついていることが多いから。

家からゆっくり歩いて五分くらいで海に出る。晴れた日ならちょうど道の真正面からお日様の光が当たるので、からだ全体が瞬時にあたたかくなる。

朝つゆに濡れた芝生や木の柵がきらきら輝いているのを見ると、ぼくのこころがぴりぴりと音を立てながら、些末な現実から引きはがされていくのがわかる。

本や書類が散らかった書斎のこと。
親父が亡くなってから食べものが喉を通らない家内のこと。
思春期の長男のこと。
これからの仕事や生活やお金のこと。
来週都内に出るときに着ていく服。
今日の昼飯と午後やること。

さっきまで気にしていた日常のあれこれが、取るに足らない問題だったのだと気づく。

視界が高くなり、視野が広がり、今日という単位で捉えていた「生活」を、人生という大きな尺で眺めることができる。木を見て、森を見る、というやつだ。

一度森全体を眺めて、「うん、俺の人生も捨てたもんじゃないな」なんて思えれば、今度は清々しい気持ちで一本一本の木に対峙できる。

人生は甘いことばかりじゃないけど、しんどいこともあるけれど、でもそれでも、森全体を眺めてみれば、やっぱり生きているってそれだけですばらしいんだって、からだの奥から力が溢れてくる。

だから朝はなるべく散歩するようにしている。
一日のはじまりには、こころが現実に貼りついていることが多いから。

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