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『ちいさこべえ』を読むといつも、暮らしと思考がシンプルになる。

仕事や雑事に追われて心に余裕がなくなるとき、あれもしなくちゃこれもしなくちゃと奔走するとき、そうしてるのは自分自身だって、気づかせてくれる。

『ちいさこべえ』は、山本周五郎の時代小説を望月ミネタロウがコミカルに漫画化したもの。現代を舞台に、江戸っ子の意地と人情が、味わい深く、ちょっと間抜けで、笑えて、ぐっとくる。

望月ミネタロウが置く独特の間、感情の読めない人物たちの表情、描かれない行間を覗いているうちに、忙しいってのは自分でそうしてるだけじゃねえかてやんでえ、って気になってくる。

どれだけ時代が変わっても、大切なものって変わらない。着て、食って、食べて、クソして、寝る。禅でも、それがすべてだって言ってる。余裕がないって、余計なことに心を砕いてるってだけ。

大切なこととそうでないことが、ごっちゃになってるだけ。
大切なことって、そんなにないってこと。

いい絵だなあ、とつくづく思う。すっと飾り気がなくて、でも、やわらかな線に味と温度がある。ヨーロッパで人気があるというのも、なんとなくわかる。

淡々と。
大切なものを、大切にして。
ときには意地張って。

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ちいさこべえ 望月ミネタロウ