コラム/エッセイ

ドヌーヴと西郷どんと狩撫麻礼と壇蜜。|ブログ日記

2018/01/13/土 晴れ。日陰は寒い。

ハリウッドのセクハラ問題に対して、カトリーヌ・ドヌーヴが「レイプは犯罪だが、女性を口説く自由は認められるべき。やり方が不器用でも犯罪ではないわ」なんて発言したという。もちろん過敏な人たちはその発言に対してもあれこれ波風を立てる。まあいつもの光景である。以前は僕もこういう思想の対立に眉をひそめていたものだけど、こういう議論ってあって然るべきだとようやく思えるようになった。

だってカトリーヌ・ドヌーヴよ。恋と芸術の国フランスを代表する美しき女が、自由恋愛を擁護しなくてどうするのよ。立場ってもんがあるでしょう。それに対して、性被害にあった人たちが反応して異論を唱えるのも然るべきで、そうやって両極あるから進んでいくのよ。なんでアタシおねえ口調なのかしら。

以前、映画監督の井筒さんがある業種を虚業だよって否定したら、ホリエモンが「人が一生懸命やってる仕事を否定するなんて人間として最低だよ! 大嫌い。」って怒ってたけど、これも然るべきで、どっちも良くも悪くもない。表現者である映画監督とビジネスの世界に生きる人の思想が同じじゃしょうがない。

たださすがホリエモンさまで、「でも、井筒さんって、そういうポジションの人だから。彼の人格は最低で評論家としても全く評価していないけど、映画はいい。こういう人が、いい映画撮っちゃうんだよね」って、彼が表現者で芸術家でクリエイターであるということをちゃんと言ってる。ナイナイの『岸和田少年愚連隊』は本当にいい作品だ。

カトリーヌ・ドヌーヴが言う「他者を断罪し、裁き、批判する資格が自分にあると、あらゆる人が感じている現状は好きではありません」ってところですね、大切なのは。

非喫煙者が副流煙を吸いたくないから嫌煙的な言動をするのは当然だけど、喫煙者であるだけで断罪し、批判するような奴は、俺も大っ嫌い。

2018/01/14/日 晴れ

大河ドラマ『西郷どん』を見た。鈴木亮平の熱演も渡辺謙の立ち居振る舞いも格好よかったけど、抜群におもしろい、という感じではなかった。大河って長丁場だから民放ドラマみたいに毎回ガッツリ盛り上げたりしないのかしら。

ふだんほとんど見ないNHK大河を見てみたのは、原作が林真理子さんだったから。毎週「週刊文春」で林さんの「夜ふけのなわとび」っていうコラムを読んでいるせいか、すごく親近感がある。街でばったり見かけたら、思わずおーいって友だちみたいに声をかけてしまいそうなくらいに。そんな林さん原作で、仲良しの中園ミホさん脚本ということで、西郷隆盛もあまり知らないし、今後も見てみようと思う。

こういう原作者と脚本家の関係って、なんだかいいなあ。林さんと中園さんは特別かもしれないけど、石田衣良さんが『池袋ウエストゲートパーク』を書いて、クドカンがコミカルなドラマに仕立てて、とか、小説の世界がテレビに向けてポップにアレンジされるのを見るのはとても楽しい。『探偵はバーにいる』も、原作はちっとも大泉洋っぽくないんだけど、どちらも楽しいし。

2018/01/15/月 晴れてるけどかなり寒い

漫画原作者の狩撫麻礼(かりぶ まれい)さんが亡くなったそうだ。先日、いきなり『天使派リョウ』を読みたくなって、アマゾンで中古全巻を買い直して、僕のアウトロー的な価値観に多大な影響を与えた『迷走王 ボーダー』もまた集めようか、と目論んでいた矢先だったので、勝手に運命めいたものを感じてる。

僕にとってはボーダーとリョウが狩撫麻礼の代表作なんだけど、世間的には韓国やスパイク・リーによって映画化されてカンヌで賞ももらった『オールド・ボーイ』とか、今度山田孝之が映画化するなんたらとかいう作品のほうが知られているのかもしれない。

江口寿史さん曰く、狩撫麻礼さんの家にはサンドバッグがあって冷蔵庫にはビールしか入っていなくて、作品の世界観そのまんまのハードボイルドな部屋だそうで、らしくて笑っちゃいました。

Kindleで無料だったので読んでみた探偵ものに、ラブホで覗き見する変態じじいが出てくるんだけど、主人公の上司が、そんな変態にならない方法を教えてやると言う。

「酒と仲良くすることさ。静かに静かにケダモノの本能をなだめてやるのさ」

なんつって、あいかわらずだなあと嬉しくなりました笑。狩撫麻礼の基本線は「本能に忠実」ですからね。本能を酒で薄めないと生きていけないのが本来の人間ってもんかもしれない。もちろんその晩は僕もしこたま酒を呑んで翌日を台無しにしましたよ。弔いの酒になったかな。

2018/01/16/火 南向きの書斎は窓開けてTシャツで心地よいくらい

今まであまり使ってなかったんだけど、Kindleのサンプルダウンロードってすごく便利ですね。読もうかどうか迷ってる本を、家にいながらにして一瞬でぺらぺらデジタル立ち読みできるって考えたらすんごい。

そんで最近なぜだか『壇蜜日記』っていうの読んでみた。壇蜜さんは、エッセイではなく日記ということで、「心がけているのは、あったことを書くということです。〇〇についてどう思った、何を感じたか、は極力書かない」と言っているんだけど、それがおもしろい。

熱帯魚屋に行ったとか、スタッフとアンダーヘアの話をしたとか、母親からせんべえが送られてきたとか、淡々と書かれた脚色のない日常がなぜだかとても心地よい。ネットとか大上段から「俺様の話を聞け」的姿勢でどうでもいい個人的な意見や思想をゴリ押しする潮流があるので、ひどく共感できます壇蜜さま。

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