コラム/エッセイ

楽しいことも哀しいことも半分ずつあるのに、どうしたら楽しいことだけ増やせるんだろう?

山登りに興味が出てきたので、ひさしぶりに映画『岳』を見て、原作漫画も読み返してます。

小栗旬くんや長澤まさみちゃんが出てる映画のほうは正直、低予算の邦画なのでしょうがないよね〜っていうセットバレバレのシーンとか、主人公の風変わりなキャラクターがうまく人間らしく実写化できてなかったりとか、苦笑してしまう部分も少なくないけど、山登りを知らない人にとってのきっかけ、はじめの一歩としてはチョウドイイ作品だと思います。

最近登山映画が好きで、『エヴェレスト』や『メルー』、『運命を分けたザイル』みたいなノン・フィクション系から、『バーティカル・リミット』にスタローンの『クリフハンガー』みたいなエンタメ系まであれこれ見てるけども、『岳』って、日本の一般的な登山者たちの現実がわかりやすいんですよ。

登山映画って、海外のプロのクライマーが世界最高峰に挑戦する……みたいなのがほとんどだけど、『岳』では、長野県の北アルプスに登りに来る、一般の山好きの人たちのドラマが描かれるから、僕みたいにこれから山登りたいな〜って人にも伝わる “リアル” が感じられます。リアルじゃないところも多いんだけど笑。

あと原作漫画を読んでると、やっぱり登山って人生にとってもよく似ていて、へこたれそうになったり、思いもかけない素晴らしい風景に出会ったり、達成感に歓喜したり、いろいろあるからこその、生きるための哲学みたいなのを感じます。

「ここから!ここから!」

北アルプスの山中に暮らす主人公・島崎三歩(さんぽ)が、遭難した登山者に(心臓マッサージとかしながら)かける言葉。

誰もいない冬山で崖から滑落して、もう死ぬしかないって誰もが思うときでも、誰かが助けてくれたり、どっかに助かる方法があるかもしれない。どんな状況でも「ここから!ここから!」って諦めないで生きようって、勇気をもらいます。いくつになっても、どんな状況に陥っても。僕らは今日が一番若い、っていうよね。ここから!ここから!

「よくがんばったね」

三歩が遭難者や滑落して亡くなった人に必ずかける言葉。

山をナメて装備や準備を怠った者であっても、どんな人に対しても、やさしく力強い笑顔で「よくがんばった!」と言う。人生も同じだなあとしみじみ。

みんながうまくできるわけはないよ。みんな間違えるよ。ときにはすねてひねくれて、過ちを犯すことだってあるかもしれない。

家族やまわりの人や社会は常識や現実を振りかざしてあなたを責めるかもしれない。でも僕も思う。あなたは悪くない。がんばってきた。

みんな、山頂を目指して、しあわせになりたくて生きてるんだもん。間違ったって、よくがんばった!って、僕もみんなに言ってあげたい。よくがんばった!

「楽しいことが半分、哀しいことが半分」

バファリンじゃないけど、山には楽しいことと哀しいことが半分ずつある。

登らなければ決してわからない喜びがある。登らなければ落とさなかった命がある。でも自分自身で、楽しいことを増やすことはできる、って、三歩は言ってる。

人生で、楽しいことを増やすってどうしたらいいんだろう?

楽しいことも哀しいことも半分ずつあるのに、どうしたら楽しいことだけ増やせるんだろう?

それはきっと、どっちを見て生きていくか、ってことだけなんだと思う。

哀しいことだって必ずあるよ。でも同じくらい楽しいことがあるんだから、そっちを見て生きていこうよっていう。

楽しいことやってるのに楽しくないのは、哀しい方を見てるってこと。

哀しいときでも、次は楽しいことが待ってるって信じることが、楽しい方を見るってこと。

そうやって、自分で楽しいことを増やしていこうぜってね。

そう思えれば、哀しいことがあったときも、きっと耐えられる。そういうもんだって踏ん張って、歯を食いしばって、ここからここからって思える。最近はそんなふうに思うんだ。

今日までよくがんばった。ここから、だよ。つらいことが多かったんなら、残り半分の楽しいことが待ってるんだもん。僕が言うんだから間違いないよ。

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