コラム/エッセイ

ちょっとの毒なら。

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ちょっとの毒なら

「ボクらの時代」って対談番組が好きでよく見てるんだけど、この前オダギリジョーさんが出ててね。すごく力が抜けてて、自分のペースで自分のしあわせを暮らしている人なんですね。まわりを気にしないから誤解されやすいかもしれないけど。そういや『ゆれる』もよかったですもんね。

そんなオダギリさんが出てる『リバースエッジ 大川端探偵社』っていうドラマの原作漫画を読んでいたら、おもしろい話があってね。

ヤクザの親分が、死ぬ前にどうしても、若い頃食べてた街の中華屋さんのワンタンを食べたいので、その店のご主人を捜してきて作ってほしいという依頼をするんです。で、探偵が、中華屋さんの老夫婦を見つけ出してきて、数十年ぶりにワンタンを食べた組長が歓喜するんだけど、どうしてそんなどこにでもあるような場末の中華屋さんのワンタンがそこまで〈おいしい〉かっていうと、その秘密は〈化学調味料〉なんです。

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うまみ調味料とか、グルタミン酸とか呼ばれるけど、まあつまり〈味の素〉ですね。俺が幼い頃には、漬け物にパッとかけたり、台所や食卓にふつうに置いてあったと思うんだけど、最近は健康によくないっつって、あんまり見かけない。「当店は化学調味料を一切使ってません!」なんて大々的に謳うラーメン屋さんなんかもあって、今やひどい悪役扱いです。

けれど、白髪の老夫婦が営むような昔ながらの中華屋さんに行くと、今でもけっこう化学調味料は使われていて、それはやっぱりとても〈おいしい〉んですね。店名は伏せますが、うちの近くにある昔から有名なラーメン屋さんも、人気の味噌ラーメンに野菜炒めに鶏の唐揚げに、すべてグルタミン酸の〈旨み〉が凝縮されていて、とってもおいしい。ここはご主人が漫画のシーンそのままに、レンゲに山盛りの化学調味料をぶっこんでて笑えます。たまに無性に食べたくなるんだなあ。

だいぶ前に見たとんねるずの番組でも、タカさんが鹿児島の薩摩揚げの老舗で料理対決をしたときに「どうしてそんなにおいしく作れるんですか?」と訊いたら、ご主人が堂々と「そりゃ化学調味料入れてるか入れてないかの違いだろ」って言って爆笑してたんだけど、量を調整してうまく使えば、やっぱり〈おいしい〉んですよ。科学的に調合されているとはいえ、昆布や椎茸の出汁と同じ〈旨み〉を凝縮しているわけだから。もちろん独特のエグみ苦みがあって、丁寧にとった出汁とは比べられないけども、それでもね。

調合段階で発がん性物質が発生する〈おそれ〉があったり、〈旨み〉が強烈すぎて過度に摂取してしまう〈おそれ〉があるってことで、健康ブームの昨今は嫌われ者のグルタミン酸ですが、まあ生きてりゃ〈おそれ〉だらけですからねえ。洗練されてない時代のちょっとした〈毒〉って、俺なんかは微笑ましいと思うんですけど、ダメですか。

煙草はダメ、化調はダメ、体罰もダメ、八百長もダメ、不倫もダメ、ダメダメダメダメって言ってると、自分の首を絞めて苦しくなるんでね、なるべくいいよーいいよーっつって生きていたいもんです。品行方正でガチガチの人より、あいつどーしよーもねーけどいい奴なんだよ、ってほうで。

不倫の末に生まれて、煙草モクモクの部屋で、化調たっぷり食べて、殴られながら育った誰かさんだって、元気に笑って生きてますよ。

ルービック・キューブとピアノ

仕事やなんやかんやでぐぐっと集中して頭を使うことが多いので、息抜きというか脳のリフレッシュに、最近はピアノやルービック・キューブで遊んでます。どちらも頭と指先を使うせいか、短時間でシャキッとなります。

ルービック・キューブって、子どものときのよりも、材質や塗装、可動部分なんかがずいぶん進化していてやりやすいんですね。きちんとマニュアルを読んで、全面揃えるための〈型〉を学びながら遊ぶと、なかなか奥が深い。

ピアノは、若い頃も独学で好きなポップソングとか弾いてたんだけど、今回は映画『ラ・ラ・ランド』の楽譜を手に入れて、スローテンポの楽曲を中心にポロンポロンやってます。指がぜんぜん動かないけど、気分はライアン・ゴズリングです。

ピアノやルービック・キューブに、それなりに真剣に取り組んでみると、あらためて〈型〉というのは大事なんだなあと切実に思います。まあ、サッカーでも創作でも料理でも何でもそうだけど、〈型〉を知ってる人しか〈型破り〉はできないわけで、独創性なんてものはずっと後からついてくるのだというアッタリメエなことが、実感としてあります。

桜木花道が基礎練習をイヤがってたのは、あれ天才だからでね。〈型〉というのは、必ずしも基礎練習の反復という意味だけでなくて、そのものごとの仕組み、バスケには何が必要かとか、ルービック・キューブはどのような順番でどのような仕組みを使って揃えるのか、という構造を知る、という部分、つまり「なぜ、それをするのか?」を考えながらやれば、たいていのことは上達します。

今見ているのは現実か、妄想か。

Is this the REAL life ? Is this just FANTASY?

クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の歌い出しです。イギリスで最も売れた曲らしいねこれ。そして最近の俺がいつも頭に浮かべている言葉です。これは現実か、それとも空想なのか?

『考えない練習』っていう、東大卒で合理的科学的に仏教を説いてくれる坊さんの本を読んでいて、おおおおってなったのが、俺たちはいつも〈自動思考〉に支配されているという話なんだけどね。

俺たちは朝目が覚めた瞬間から、脳が〈勝手に〉あれこれ考えを始める。自分で能動的にしてるんじゃなくて、気づいたら常に自動的になんか考えてるでしょ。あれやんなきゃとか、アレ大丈夫かなとか。で、盲目的にその〈考え〉を信じて、それこそが〈現実〉だと思って暮らしてる。

その〈考え〉ってやつが、映画『マトリックス』で描かれた仮想現実であり、脳が過去の経験からでっちあげたストーリーであり、妄想であり、ファンタジーなんですね。

たとえば朝から家内の機嫌がすこぶる悪い。あれ、俺なんかしたかな? 酒飲んでゲームばっかりやってるから怒ってるのかな? あれがバレたかな? と、あれこれ〈自動的〉に考えを巡らす。そんでその考えが真実かどうかきちんと検証もしないうちに、「よくわかんねえけど俺がわるいんだろうな」みたいな曖昧な考えや罪悪感を無意識に信じてしまい、それを〈現実〉だと思い込んでしまう。〈現実〉には、家内は寝不足で疲れてるだけだったり、女性の日だっただけだったりするのに。

わかりやすく言うと、すごくわかりにくくなるんだけど笑、「毎日暮らしている現実こそが妄想で、ありえないと空想していることこそが現実」って話です。江戸川乱歩が「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」って言ってるのと同じです。わけワカメですね。

まあなんていうか、人生しんどいときもあるじゃないですか。そういうときは、これまでの経験から、脳が勝手にネガティブなストーリーをこしらえて、そっちを信じちゃってるだけで、落ちついてじっくり現実を見てみたら、ああ騒いでるのは自分だけか、と気づくときが来るよってな話です。元気でねー。

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