うーん、やっぱ、タランティーノってスゲえよ。
っていうのが、率直な感想だね。
高校生の頃、シネマライズ渋谷で、何も知らずに『レザボア・ドッグス』観て度肝をぬかれてからウン十年、今や世界的な監督になったけども
彼の漲るエナジーっていうか、タランティーノしか持ってない狂気とかユーモアとか情熱を全力で発揮してくるパワーは、あの頃と変わってないんだよなあ、さすがだよね。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、アメリカや映画の素養がある程度ないと楽しめないってのはあるよ。
実話を元にしたフィクションだから、まずは物語の根幹にある〈シャロン・テート殺害事件〉っていうのを知らないと、面白さは半減する。
世界を震撼させた無差別猟奇殺人で、日本でいえばオウム事件みたいに、国民なら誰もが知っている事件で、そこに向かって進んでいくから。ググってくれ。
その陰惨な殺人事件に向かって、現実みたいに間延びした時間の流れの中で、ユーモアや純情やノスタルジーや不穏さが、闇鍋みたいにごちゃ混ぜになって進んで、緊張感が増していく、倦怠とゾクゾク。
っていうかさ、記憶に残る映画って、演技とか脚本とかの質がどうこうっていうより、「こんなの観たことねえ!」っていう衝撃だよね。
『ゼロ・グラビティ』とか『バードマン』とか、フィンチャーとかノーランとか、黒澤でも伊丹でもなんでも、「うへえ……、こんな映画観たことねえよ。こんなのこの人しか撮れねえよ」っていうのをね、今作もタランティーノくれたよね。
長いから、アップテンポを期待してると冗長に感じるかもだけど、この意図した〈間〉が妙な現実感を醸し出していてね、タランティーノがニヤニヤしてるのが想像つくよね。
陰惨でショッキングな演出も多いけど、タランティーノってやっぱり自分の愛と情熱を放り出してんだなあって、つくづく思うよ。カックイーね。
あと、めちゃくちゃ煙草吸いたくなるよ笑。ボクも、煙草とウイスキーやりながらもっかい観たいね。楽しんでくれ。