前回☞ 見よう、わかろうと、すればするほど遠ざかる枯山水。龍安寺〈京へ西へ。その十四〉

龍安寺を出て、金閣寺へ向かうことにした。

疲れてたんで、バスで行こうと停留所で待ってたら、外国人観光客に話しかけられた。

英語で、

「JRバスはこれでいいのかい?」

って訊かれたので、

「そうだよー」

って気軽に答えたら、前に並んでたおねえさんたちが、

「違うよ。今から来るのは〇〇バスのほう。JRはその後よ」

って、訂正してくれた。

単純なオレの勘違いだったんだけど、その後ちょっとそのインド系のおにいさんと話して、結局バスは混雑しすぎでオレたち乗れなかったんたけどね。

考えてみたら、今回の京都旅で、見知らぬ人と会話をしたのって、ほとんどが外国人だった。辺り見回したら日本人のほうが少ないもんね。

べつにこだわってるわけじゃないけど、こっちから外国人に話しかけるときは、基本的に日本語で話すようにしてる。まあ、ちょっとした声かけのときだけどね、ごめん、とか、いいよ、とか、ありがとう、とか。

だってここは日本だから、訪日客だってそのほうがいいでしょ?オレなら嬉しいな、そのほうが。

昔さ、スペイン行ったときに、まったくスペイン語がわからないオレが、まったく英語のわからない地元のおっちゃんに道を訊いたんだけど、お互い何言ってるのかわかんないのに、最終的には、伝わったんだよね、なんとなく笑。

スムーズに、効率よくいけばいいってもんでもないじゃん、旅ってとくにさ。

そんで、しょうがないから歩きましたよ。もう歩くのもうんざりしはじめてたけど、頭のなかを空っぽにしてね、歩く機械と化して。

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金閣寺はもう、完全な観光地ですな。

お寺さん、って感じではないわ。観光客多すぎて。

参拝してる人なんていないんじゃないの?って思うくらい、アミューズメント・パークだよね、あそこまでいくと。

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それでも、金ピカド派手なお寺なんてなかなか見られないから、自撮りとかしようと思ったけど、諦めたもんね、人がスゴくて。

でもココも、ちょっと一旦立ち止まって、心を無にして、観光客の群衆を忘れて、すっと、視野を広げて俯瞰すると、だんだん全容が見えてくる。

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金閣寺って、金閣寺そのものが素晴らしいんじゃないね。

この金ピカの建物を中心に据えた、周りの池、庭、敷地すべての、この世のモノとは思えない、極楽浄土のような佇まい、景色全体が、スンゴイんだねココは。なるへそ。

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この、金ピカを映す池、鏡が命だねココは。そんで、小島があって、立派な松が伸びていて、っていう。

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紅葉もわるくなかったけど、雪が降った白銀の世界とか、春の花が溢れた季節なんかに見たら、浮き世離れした、天上の世界、みたいに感じるような気がする。

どっかで見た、天国の風景だよきっと。

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いやあでも昨日から歩きっぱなしだから、疲れてきたね、頭も、身体も、だんだん笑。

休憩場所で、抹茶ソフトなんか買ったりしてね。インスタ映え、みたいの撮ってみたりして。

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振りかけられた大量の抹茶パウダーと金粉に咳き込みそうになりながら、ソフトクリーム舐めてたら、同じようにソフトクリーム舐めてる女の人が目に入ってね。

あれ、どっかで見たな、あの人、って思ったら、たぶん、他のお寺さんとか、通りとか、違う場所でも何度か見かけてる人っぽくて、若い女性なのに一人だったから、無意識に記憶に残ってたんだろうね。

一人旅の人って、やっぱりちょっと目立つもんで、向こうもこっちをちらちら見たりして、なんていうか、一人旅をしている人特有のオーラみたいなのは、あるんだよね。

「あの、お一人ですか?」
「はい。あなたも?」
「そうなんです。どちらから?」
「東京からです」
「僕は神奈川です。茅ヶ崎なんですけど。もしよかったら、一緒に……」

なんつって、話しかけてみたらどうなるんだろう?

と、ちょいと下心がまぶされた不埒な妄想を抱きつつ、家族に御守りなんかを買って、金閣寺を後にしましたとさ。つづく。

☞ 竹林と渡月橋に忘れ物ひとつ〈京へ西へ。その十六〉

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