モノクロで切りとる、そんなに大切でもない日常の一瞬『Hueless』

kids on move
kids on move / Victor Bezrukov
写真はモノクロからスタートした。

カラーの技術が発明された後も、1970年代後半にウィリアム・エグルストンがカラー写真の可能性を切り開くまでは、芸術写真と呼ばれる写真はほとんどモノクロで撮られていた。

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jumping to the sea
jumping to the sea / Victor Bezrukov
モノクロ写真は雰囲気があって絵になりやすい。どんな壁に飾っても邪魔にならないし、色が喧嘩することもなく、こちらが都合のいい色を想像したっていい。今でもモノクロで撮る写真家やマニアは多いし、モノクロで刷られる写真集もたくさんある。

だけど写真の芸術性は、美しいことじゃなくて写実的なこと(事物のありのままを写すこと)だと思っている。ドキュメンタリー。あるいは記録。音や動きを孕んだ映像よりも写真が優れているのは、ありのままを一瞬に閉じこめることができるという点だ。

カラーの色素は宿命的に光に弱いからすぐに退色してしまうが、過去の偉人たちの写真を見てもわかるように、モノクロ写真は100年以上もの保存がきく。

Portrait of George Howard Darwin (1845-1912), Mathematician and Astronomer
Portrait of George Howard Darwin (1845-1912), Mathematician and Astronomer / Smithsonian Institution
時代はデジタルだ。今や写真の保存性について危惧している人はあまりいないだろう。そもそも紙にプリントする機会が激減している。今の子どもたちにとって写真というのはパソコンやスマホで見るものなのだろう。

僕らはフィルムの枚数を気にせずに、同じ被写体に向かって何度も空虚なシャッターを切り、それらのデータはiPhoneからMacに自動的に送信され、外付HDDやクラウドサービスに保存しておけば、写真を失ってしまうリスクは減る。

だけど何重ものバックアップをとったデジタルデータよりも、引き出しの奥にしまってあるモノクロ写真の方がずっと手元に残るような気がしてならない。根拠はない。僕の勝手なストーリーだ。

praying with shadow
praying with shadow / Victor Bezrukov
iPhoneで写真を撮るのは楽しい。よくできたカメラアプリで加工すれば平凡な写真が見栄えのいい作品になったりもする。だけど、僕が八十歳のおじいさんになったときに見返したいのは、そういう写真ではないような気がする。

『Hueless』のアイコンを見ると、僕はいつもそのことを思い出す。

モノクロで切りとった、そんなに大切でもない日常の一瞬が、いつかかけがえのない一枚になるのだと。

Hueless 2.0(¥170)App
カテゴリ: 写真/ビデオ, エンターテインメント
販売元: curious satellite – Orbital Guidance Industries, Limited(サイズ: 7.9 MB)
全てのバージョンの評価: (6件の評価)

 

▶「モノクロならいい写真が撮れるとでも思ったかい?」とあいつは言った。『Hueless』

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