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2013年1月。創業120年を越えるドイツの世界的ビスケットメーカー『バールセン』の本社に掲げられていたオブジェが盗難されるという事件が起きた。

オブジェは金色のクッキーをかたどったもので、重さは約20kg。100年以上も同社の顔として輝いていた貴重なエンブレムである。

クッキーモンスターから犯行声明文が届いたのは、事件のすぐ後のことだった。

オレ様はお前たちが欲しがっているものを持っている。2月にハノーファにある「Bult」という病院に入院している全てのこどもたちに、クッキーをプレゼントしろ!でもそのクッキーは本物のミルクで作られたチョコレートがサンドされたものじゃなきゃダメだ!ブラックチョコのクッキーや、チョコがサンドされてないものじゃダメだ!

そして犯人捜しに懸けられた褒賞金の1000ユーロは動物の家(飼い主が見つからない動物の保護センター)に寄付をしろ!

ちゃんと要求をのまなければ、お前たちが欲しがっているものをオスカー(セサミストリートのゴミ缶の住人)にあげちゃうからな!

本当だぞ!!!

ちゃんと要求を実行したら、今度はクッキーの在りかを書いた手紙を書くからな。

クッキーモンスターより

引用元: neko @ Young-Germany Japan: クッキーで脅迫!?.

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この脅迫状に対し、バールセンの社長は、クッキーモンスター指定の病院だけでなく、52の公共福祉施設に52000箱のクッキーをプレゼントすることを発表。バールセン社はこれまでにも毎年クリスマスなどに施設へのクッキーのプレゼントを続けており、犯人の言うとおりに実行することは「テロリズムに屈することに繋がりかねない」として、独自の条件を示したという。後日、エンブレムは無事に返却された。(neko @ Young-Germany Japan: クッキーで脅迫!?つづき

この微笑ましい脅迫事件は、ニュースでも報じられていたので知っている人も多いだろう。自作自演だとかステマだとか言う人もいるようだが、それはさもしすぎる見方ではないだろうか。

病院や施設の子どもたちは美味しいチョコクッキーにありついて、クッキーモンスターは一世一代の企みに心を躍らせて、バールセンにとっては世界的な宣伝となって、メディアが広めて、僕らはそれを眺めて心をやさしく撫でられるという、すべての人にとって微笑ましい事件だった。

クッキーモンスターの正体はけっきょくわかっていないらしいが、あそこまでチョコレートにこだわるところを見ると、おそらく犯人は男性なんじゃないかと思う。僕がそうであるように、男はチョコレートと悪戯には目がないから。