象の神様は言った。
「靴、みがけや」
成功の第一歩は、商売道具の手入れをすることだという。
あのイチローだって「神聖な商売道具を粗末に扱うことは考えられない」と言って、毎日自分でグラブを磨いているというのだが、道具の手入れをすることが本当に成功に繋がるのだろうか。
それは昔ながらの精神論で、成功する人にだってだらしない人はいるだろうし、もっと大事なことがあるんじゃないだろうか。
考えていてもしょうがないので、僕もやってみることにした。
僕の商売道具はMacなので、Macを磨くことにした。それほど汚れるものではないので、週に一度、筐体やキーボード、ディスプレイをぴかぴかに磨き上げる。メインで使っているMacBook Airも、書斎に鎮座している母艦iMacも、ついでにデスクまわりも拭きあげる。
ディスプレイなどを拭く際には、きめの細かい専用のクリーニングクロスを使うといいだろう。僕はIKEAで買ったものを使っている。
でもよく考えたらコンピュータの手入れというのは外面よりも内部の方が重要だ。
ということで、OnyXというメンテナンスアプリを使って、ハードディスクの検証やキャッシュの削除などマシンのクリーニングを行う。
OnyXのメンテナンスはほぼ自動なのだが、各種クリーニングを行った後はマシンの動作がきびきびと軽くなるので、きちんとマシンを磨いたという感慨はある。
ダスターやクリーニングクロスを用意して、Macやデスクを磨きあげるのはちょっと面倒だったが、やってみると思ったより気持ちよかった。作業している間に、自然といろんなことを考えていた。
掌の油脂を拭きあげた、さらりとした感触のキーボードは心地よいし、汚れのないディスプレイも眩しい。
毎日使う道具が綺麗に保たれているだけで、よし、いっちょやったるか、という気持ちになるもんだな、と頷いてしまった。
商売道具を磨かなくたって成功することはできるだろうし、夢をかなえるためにもっと大事なことはいくらでもあるだろう。
だけど商売道具を磨くと、大きな夢を描いたあのときのふるえるような気持ちを思い出すことができる。いつもありがとう、これからもよろしくな、という気持ちをこめて道具を磨くことは、自分の心を磨くことだ。あのとき掲げた夢を磨くことだ。
靴でもコンピュータでもデスクでもなんでもいい。たまには自分を支えてくれるものに目を向けてみてはどうだろうか。