Childhood
Childhood / h.koppdelaney
 

素敵な記事を見つけたので、僕も自分の子どものころの夢を思い返してみることにした。

▶ 子供の頃の将来の夢は何でしたか?あなたは好きなことをやっていますか? | FLAT 23.

ちなみにうちの九歳の長女はパティシエになりたいと言う。六歳の次女はパティシエになった姉が作るスイーツを食べる係になるそうだ。それはさぞかし楽しい仕事だろう。

憧れるだけのどうしようもない日々

鳥山明に憧れて、漫画家になりたかった小学生時代

小学生の頃、みんなよりすこしだけイラスト(正確には模写)がうまかった僕は、そのとき虜になっていた「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」の鳥山明に憧れて、将来は漫画家になるのだと決めていた。

黒澤明に憧れて、映画監督になりたかった中学生時代

中学に入って映画ばかり見ていた僕は、早々に漫画家への夢を捨て、映画監督に憧れるようになった。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ダイ・ハード」など、まだアメリカ映画に夢のある時代で、ハリウッドばかり見ていたのだが、スピルバーグやルーカスといった巨匠たちが師と慕う黒澤明に心酔するようになった。

GREEN DAYに憧れて、パンクロッカーになりたかった高校時代

高校に入っても映画ばかり見ていた僕は、映画科のあるアメリカの大学に進学するためにすべての授業を英語でおこなうインターナショナルコースへ進み、アメリカの大学に面接にまで行ったのだが、いつしかその熱は冷めてしまった。

その代わりに当時好きだったGREEN DAYというパンクバンドに憧れ、いつしかミュージシャンを目指すようになる。

花村萬月に憧れて、小説家になりたかった大学時代

卒業間近になってアメリカ留学をとりやめた僕は、どうにか日本の大学に滑りこんだのだが、はじめての独り暮らしとアルバイトが楽しすぎてほとんど大学へは行かず、ワンルームの部屋に閉じこもって小説ばかり読んでいた。

そして例にもれず今度は小説家を目指すようになるのだ。

しかもそのとき憧れた作家には、花村萬月や中島らも、山田詠美といった、一癖も二癖もある人が多かったので、僕の人生はゆるやかに坂を転げ落ちていった。

「何になったっていいんだぞ」と父は言った。

「ラーメン屋さんでも漫画家でも、美容師でも、何になったっていいんだよ。君の人生は君のものだから」

田舎から一人で上京して美容師として成功した父は、酔っぱらうと口癖のように僕にそう言った。

自由に生きていいよ、というメッセージなのだが、その言外には暗に「だからサラリーマンだけにはなるなよ」というメッセージが隠されていたように思う。たぶん本人も気づいてはいないだろうけど。

だから僕は無意識にいつも、漫画家や映画監督、ミュージシャン、小説家といった、表現をする人にばかり憧れるようになったのかもしれない。

何にもなれなかった僕は、今ブログを書いている。

華やかな表現職ばかり目指していた僕も、気づいたらどの夢も達成することができずに、おっさんと呼ばれるような歳になってしまった。

きっと僕には才能がなかったんだろうけど、それ以上に、夢中になるほど熱くなれなかったから夢が叶わなかったんじゃないかと今になって思う。

そして今、僕はブログを書いている。いろんな回り道をしたけど、インターネットを通じて、やっぱり「表現」がしたいのかもしれない。何かを伝えたいのかもしれない。伝えたくて生きているのかもしれない。

なぜこんな話になったのかわからないけど、こういうのもわるくない。僕はこうして僕になった。どこにでもある、そういう物語だ。

思えば恥の多い人生だけど、バスケ部時代にマイケル・ジョーダンになりたいと思わなかったのは、さすがに無理が見えたのだろうな。